東電が火力発電の運用をIoTで支援、燃料費を7000万円削減する例もIT活用

東京電力フュエル&パワーは、IoT(モノのインターネット)を活用する火力発電所運用支援サービスを開始した。国内外の発電事業者に対しても同サービスの提供を推進し、3年以内に年間50億円の売上高を目指す。

» 2018年02月13日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 東京電力フュエル&パワー(東電FP)は、東京電力ホールディングス(東電HD)と協力し、IoT(モノのインターネット)を活用する火力発電所運用支援サービスを開始したと発表した。クラウドサービスや各種IoTサービスの連携により、火力発電所のO&M(保守管理)最適化を可能にする。

火力発電所運用支援サービスのスキーム(クリックで拡大) 出典:東京電力フュエル&パワー

 東電FPは2015年12月から、今回のサービス開始に向けて同社発電所で国内外IoTサービスの有効性についての検証を行ってきた。この検証の一環として、2017年1月から東電FP内に設置した、遠隔監視センター(DAC、Data monitoring and Analyzing Center)の試験運用を始めた。DACは、社内外の発電所運転データを遠隔でモニタリングし、運転状態の可視化、予兆管理、発電効率管理サービスの提供を行う。

遠隔監視センター(DAC)の概要と活用したIoTサービスの一例(クリックで拡大) 出典:東京電力フュエル&パワー

 DACの試験運用では、常陸那珂火力、千葉火力、富津火力、品川火力で、発電効率向上による燃料使用量の削減(1ユニットあたり年間最大約7000万円)および、不具合の予兆検知による稼働率の改善(不具合停止を10〜20%削減)により、O&Mの最適化が実現できることを確認した。DACは2018年1月から、本格的な運用を開始している。

 両社は今後、国内外の発電事業者に対する燃料使用量の削減、稼働率の向上に関するソリューションの提供により、火力発電所運用支援サービスとして3年以内に年間50億円の売上高を目指す。また、国内および海外発電プラントにおける燃料費などの発電コスト低減と温室効果ガス削減に貢献する方針だ。

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