費用をかけたのに効果なし、実は失敗が多い太陽光発電の雑草対策工法とは?基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(3)(1/2 ページ)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の1つとなっている雑草対策について解説する本連載。今回はトラブルにつながりやすい、問題の多い雑草対策の工法について紹介する。

» 2018年06月19日 07時00分 公開

 前回は太陽光発電所にトラブルや悪影響をもたらしやすい、代表的な雑草の種類について解説しました。今回は太陽光発電所の雑草対策として行われているさまざまな工法の中で、トラブルにつながりやすい、問題の多い工法について解説します。

 太陽光発電所の建設を計画するに当たり、雑草対策としてさまざまな工法を検討し、施工や実施をされた例もあるかと思われます。しかし、実際には当初の計画通りに進まず、発電所内が芳しくない状況になってしまっている――といった相談をうけるケースも多くあります。

 今回は、そのような代表的な工法を2つと、発電所の雑草対策として一番多く行われている草刈作業の注意点について説明します。

1.緑化工法(クローバーによって緑化し非管理を目指す工法)

 環境対策、土砂流出、雑草防止のために、クローバー(シロツメグサ)の播種(3種混合)を行っている例をよくみかけます。しかし、種まき後に適切な管理を行わないと、2〜3年のうちにクローバーの生存率が1%以下になってしまう場合があります。

※播種(はしゅ)=種まきのこと

 私自身も、クローバーがほぼ死滅し、カヤなどの問題発生が多い他の雑草に植生転換してしまった発電所に何度も遭遇しています。

 クローバーが死滅する理由は、その特性にあります。クローバーはマメ科植物で、根粒菌を持っています。根粒菌とは植物の生育を促す土壌内のバクテリアで、各固体の生育範囲を広げてコロニー(ひとまとまりの植物の群落)を作ります。しかし、このコロニーは上限に達した場合、自滅の方向に向かってしまうのです。すると、自滅した空白の場所に他の植物群が入り込み、さらにクローバーを駆逐してしまう悪循環におちいると、多種な草種が存在する植生に転換してしまいます。

他の雑草に転換し、壊滅寸前のクローバー

 クローバーの播種費用は廉価なため、一見導入しやすい工法に見えます。しかし、長期的に効果を維持するには、播種後に適切な管理を行う必要があり、それには豊富な経験やノウハウが必要です。そうした管理・維持の費用がかけられないという場合は、あまりおすすめができません。

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