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» 2018年06月27日 07時00分 公開

自然エネルギー:再エネ水素でサプライチェーン構築、大成建設らが北海道室蘭市で

北海道室蘭市で風力発電の電力を利用した水素サプライチェーンの構築実証がスタート。水素の貯蔵・輸送には、高圧タンクではなく水素吸蔵合金を活用する。

[長町基,スマートジャパン]

 日本製鋼所は、大成建設を代表企業として室蘭市、九州大学、室蘭工業大学、巴商会、北弘電社と共同で、水素の製造・貯蔵・運搬・移送・利用までのサプライチェーンを構築する実証事業を行う。この実証事業は環境省が公募した「平成30年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」へ同グループが提案した「建物及び街区における水素利用普及を目指した低圧水素配送システム実証事業」が採択されたもので、2018〜2019年度にかけて実施する。

 実証事業では、室蘭市が所有する祝津風力発電所で発電した電気を使い、水電解水素製造装置で水素を製造し、車載用コンテナに収納した水素吸蔵合金タンクに貯蔵する。現在普及している水素貯蔵方法は数百気圧の高圧水素ガスで貯蔵しているが、今回は水素吸蔵合金を用いることで水素を低圧で大量かつ安全に貯蔵を可能にする。

 これにより建物や街区への水素の普及促進を実証する。水素を充填(じゅうてん)した水素吸蔵合金はコンテナごと運搬車両に搭載し、水素利用場所の温浴施設に運ぶ。温浴施設には定置型の水素吸蔵合金タンクと純水素型燃料電池を設置し、車上の水素吸蔵合金タンクから水素だけを移送する。燃料電池で発生する電気と温水は温浴施設で使用する。この水素移送時には「熱のカスケード利用」を行い、水素を吸収する側のタンクで発生する熱を、放出する側のタンクの加熱に用いる。また、定置型水素吸蔵合金から水素を放出するために必要な熱は、建物からの低温排熱を利用しエネルギーの効率向上を目指す。

実証のイメージ 出典:日本製鋼所

 実証事業で大成建設は事業の全体統括、全体基本システム設計、MH(水素吸蔵合金)による水素運搬システム評価を担当する。室蘭市は実証フィールドの提供、風力発電設備の電力を供給する。九州大学は実証事業全体のサポート、水素製造所の低コスト化検討、システム全体の性能評価を行い、室蘭工業大学は実証サイトでの水素吸蔵合金による輸送と水素移送時の性能評価と効率向上改善を検討する。

 日本製鋼所は車載用および定置式水素MHタンクの設計・製造を実施し、巴商会は水素製造設備の設計施工、水素利用設備の設計施工、実証設備運転管理、水素運搬業務に取り組む。北弘電社は水素製造所・水素利用場所の電気設計・施工、水素製造所水道設計施工、水素利用場所の熱供給設備設計・施工、実証設備維持管理を行う。

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