大阪ガスが米国のベンチャー企業と共同で、蓄電池を活用したピークカットや需給調整などの実証実験に着手。「仮想発電所(VPP)」の構築で求められる、蓄電池制御に関する知見の獲得などが目的だ。
大阪ガスは、VPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)プラットフォームを構築する米国のベンチャー企業Growing Energy Labs社(以下、Geli)と、蓄電池の最適運用に関する共同実証を日本で実施する。2018年8月から大阪ガスが保有する実験集合住宅「NEXT21」(大阪市)および「今津グラウンド」(兵庫県西宮市)で、蓄電池を活用したピークカットなどの実証を行う。
Geli社は分散電源など向けの制御用ソフトウェアの開発企業で、特に蓄電池の制御に強みを持っているという。米国・豪州において、これまで大型の電源で行われてきた電力系統の需給バランス調整を、多数の蓄電池で構成したVPPで実現するプラットフォームを提供している。
今後日本でも、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、同様なVPPの活用ニーズが高まっていくことが予想される。さらに「再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)」による電力の買い取りが終了する家庭用太陽光発電が増えるに従い、電力の自家消費ニーズが活性化と、それに伴う蓄電池の需要拡大が見込まれる。
大阪ガスはこうした背景から、VPPや蓄電池制御に関するノウハウ獲得のため、2018年3月にGeli社に対し出資を行い、実証試験を行う準備を進めてきた。今回の実証試験では、NEXT21で、太陽光発電と蓄電池を効果的に組み合わせ、経済性の向上と、系統の需給バランス調整の両立について検証を行う。今津グラウンドでは、業務用・産業用のユーザーニーズを想定し、蓄電池を用いて受電のピークカットと、系統の需給バランス調整の両立を目指す。実証期間は2018年8月〜2019年3月の予定だ。
大阪ガスでは今回の実証試験などを通じてノウハウを獲得し、顧客のピークカットニーズや太陽光発電の自家消費ニーズに応える蓄電池の最適運用、さらに家庭用燃料電池「エネファーム」を組み合わせた新しいサービスの創出などを目指す方針だ。
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