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» 2018年09月20日 07時00分 公開

電力供給サービス:新電力は2年で倍増、電力販売実績があるのは73.6%

帝国データバンクが小売電気事業者に関する調査結果を発表。新電力の数は電力自由化がスタートした2016年4月から倍増し500社を突破した。

[スマートジャパン]

 帝国データバンク(TDB)では、経済産業省・資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者」に登録された全国508社(2018年8月9日時点)について、自社データベースなどを基に、都道府県別、設立時期、業種別、年売上高別、上場区分別などについて集計・分析した。登録小売電気事業者は、特定規模電気事業者から枠組みの変更が行われた2016年4月1日直前の調査では、266社であったことから、この期間で登録者数は約2倍に増加している。

 本社所在地を都道府県別に見ると、東京都(188社、構成比37.0%)が最多。以下、大阪府、福岡県、北海道、神奈川県が続いた。また、地域別では関東(250社、構成比49.2%)が最も多く、続いて近畿、九州の順となった。

 設立時期は、2010年までに設立された企業が269社(構成比53.0%)となり半数以上を占めた。前回調査時の特定規模電気事業者では、2011年の東日本大震災以降、再生可能エネルギーの導入機運が高まり、新規参入が増加し、電力小売り全面自由化直前の2015年までその傾向が続いた。一方で今回の登録小売電気事業者では、事業者としての登録が必要になることを受けて、2015年以降に新設する動きが増加し、単年での設立社数は2015年の64社(構成比12.6%)が最多となっている。

 508社の主業を業種別に見ると、最多は「電気事業所」(123社、同24.2%)で、4社に1社が主業としていることが判明した。次いで「有線テレビ放送」(27社、同5.3%)、「石油卸」(23社、同4.5%)、「燃料小売」(23社、同4.5%)、「ガス事業所」(20社、同3.9%)などが上位を占めた。前回調査時の特定規模電気事業者では44社、構成比16.5%であった「電気事業所」が大幅に増加しており、従来は主業が別にあり、新規事業として電力事業に取り組んでいた企業が多かったのに対し、最近は新電力事業を目的に設立された場合や、電力事業を主業としている企業が増加している状況が分かった。

 508社を年売上高別に見ると、「10億円以上100億円未満」(127社、構成比25.0%)が最多となった。以下、「100億円以上1000億円未満」(83社、同16.3%)、「1億円以上10億円未満」(61社、同12.0%)と続いた。「未詳」は164社(構成比32.3%)。

 特定規模電気事業者と比較すると、年売上高100億円以上の企業数はほとんど変化がないのに対し、100億円未満の企業数は半数以下に減少しており、売上規模の大きい企業の占める比重が増している状況が分かる。

 508社の上場区分を見ると、未上場企業が463社(構成比91.1%)で、これに対し、上場企業は45社(同8.9%)と1割未満となった。

 経済産業省・資源エネルギー庁発表資料を基に集計したところ、登録小売電気事業者508社のうち、2018年5月までの時点で電力販売実績があるのは374社(構成比73.6%)。前回調査の特定規模電気事業者では、販売実績があったのは全体の14.8%であったことと比較すると、大幅に増加している。

 また、前回調査時の特定規模電気事業者(799社)のうち、8月9日時点で小売電気事業者への登録を済ませているのは、217社(構成比27.2%)にとどまった。電力小売り全面自由化後、特定規模電気事業者の7割以上が事実上電力事業から撤退している可能性がある。

 今回の調査を受けて、TDBは今後の見通しを以下のようにまとめている。

 東日本大震災以降、注目度の高まった新電力事業だが、従前の枠組みである特定規模電気事業者(PPS)から、2016年4月から小売電気事業者への登録が必要になり、業界環境は変化している。

 今回の調査でも、電力小売り全面自由化直前の2015年に新電力会社の設立が集中、以降もベンチャー企業が多数設立されていることが判明した。また、PPS時代と違い、副業としての電力事業ではなく、電力事業を主業に据える企業が3倍近くにのぼっており、電力販売実績のある企業も大幅に増加するなど、文字通り「新電力会社」が市場に浸透してきていることが分かった。

 その半面、売上高が100億円を超えるような大手企業の比率は高く、価格面での競争も激しくなる傾向にある。さらに、新興の新電力会社にとって一番の課題となるのが電力の安定供給であり、現状各社はバランシンググループなどを組織してリスク低減に努めているが、不足した場合に発生するインバランス料金は大きな負担となっている。破産した福島電力のように、急激な事業拡大に内部体制、資金面が追い付かずに破綻するケースは今後も発生する可能性が高いとしている。

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