パナソニックが描く100年の先にある未来
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» 2018年11月07日 07時00分 公開

スマートホーム:データで人を支配しない、パナソニックが描く「未来のくらし」は人間中心

パナソニックは100周年を記念し同社初の全社ユーザーイベント「「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」を開催。その中で、スマートホーム事業などを展開するエコソリューションズ社の北野社長が、同社の描く「未来のくらし」について語った。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 パナソニックは100周年を記念して行う同社初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)を開催。3日目の同年11月2日には、パナソニック エコソリューションズ社 社長の北野亮氏が「次の100年における人々の『くらし』の変化とパナソニックのお役立ち」と題するビジネスセッションを行い、これからの同社の戦略とビジョンについて語った。

 1917年のパナソニック創業後、初めて販売した商品として知られる「アタッチメントプラグ」。電気器具と配線を接続するこの器具は、販売から100年が経過した現在も、年間10万個ペースで出荷があるという。

 現在、このアタッチメントプラグの製造販売を担当しているのが、エコソリューションズ社だ。かつてのパナソニック電工の流れをくむ同社は、配線器具や照明器具などの電設資材、雨樋(あまどい)からスタートした住設機器、さらに太陽電池、蓄電池など幅広く事業を展開している。

エコソリューションズ社の北野社長と、同社の歴史

 さらに最近では、高齢者向けの介護サービス、街づくりにまで事業を広げており、北野氏は同社を「24時間、人々が生活するあらゆる場面で役に立てるカンパニー」と位置づける。

 このように消費者の生活に関わるさまざまな事業を展開するエコソリューションズ社だが、次の100年を考える上での鍵として北野氏が重要視するのが“デジタル化”の流れだ。「デジタルな技術によって、これまでは把握できなかった、その人のくらしぶりが分かるようになる。こうした情報を活用して、本人すら気がつかなかった新たな価値やサービスを提供していきたいと考えている」(北野氏)

 だが北野氏はこうしたデジタル技術を活用した新しい価値やサービスの創出について、「ビッグデータを使って、消費者の行動を誘導するーーといったような取り組みというのは、素晴らしい面もあるが、多少乱暴なやり方にも見える。これは、パナソニックが描く“くらしアップデート業”が目指すものとは少し違う気がしている」と話す。

 “くらしアップデート業”とは、今回の「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」の基調講演で、パナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏が宣言した、同社の目指す新しい企業ビジョンだ。常に人々の生活や時間に寄り添い、それらを豊かにするサービスを提供・更新し続けるーー。こうした“くらしアップデート業”となるため、あえて未完成品を世に出したり、他社との共創を進めたりといった取り組みを進めるという(関連記事「人の幸福から離れて、生き残る会社はない」パナソニック津賀社長」)。

 こうした“くらしアップデート業”を目指す上で、北野氏が「パナソニックの強み」と語るのが、「人々の生活に対するタッチポイントが多い」こと。住宅設備、床、ドア、そして家そのものまで、人々の生活に密接に関連した多くの製品を開発・販売していることが、1つの強みになるという考えだ。

 そして北野氏は、こうした消費者とのタッチポイントとなり、“くらしアップデート業”を具現化するソリューションとして、パナソニックの「HomeX」を紹介した。HomeXは、家電や住宅設備を統合管理し、遠隔操作やさまざまな支援を行えるサービスでありコンセプト。一人ひとりのライフスタイルに合わせて、生活をアップデートする情報基盤という位置付けだ。コンセプトは以前から発表していたが、今回の「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」でその全体像が明らかになった(関連記事「“暮らしのiOS”か? パナソニックの新たな暮らし基盤「HomeX」デビュー 」

 北野氏はこのHomeXについて、「家の中にもう一人の家族がいるというイメージ。賢くて、あまりお仕着せがましくない、奥ゆかしいパートナー」と表現する。ビッグデータを使って、消費者の行動を誘導するーーのではなく、生活に寄り添った、人間中心の発想でサービスを展開していく考えを語った。

 「生活をより豊かにして、快適にしていくーーという人起点の熱い想いをもってやっていきたい。ただし、やり方は今流。そして、お仕着せがましくなく、人に寄り添った変化を続けていきたい。より良いくらし、より良い社会をつくっていくということを原点に、積極果敢に替わり続ける企業であることが重要だと考えている」(北野氏)

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