AIモデルを使って、科学研究を自動化できないか?──AIベンチャーのSakana AI(東京都港区)は8月13日、そんな需要に対応するAIシステム「The AI Scientist」を発表した。事前準備を行うだけで、人間が一切介入することなく、研究アイデアのブレインストーミングから文献調査、実験、論文執筆、査読までをAIが全自動で行うという。
同社はThe AI Scientistについて「大規模言語モデルのような基盤モデルが独立して研究を行うことを可能にするシステム」と説明。費用は1本の論文当たり15ドルかかるという。実際にこのシステムで作成したという論文も公開しており「まだ時折欠陥があるが、この成果は、The AI Scientistが研究を民主化し、科学の進歩を大幅に加速する可能性を示している」と強調している。
The AI Scientistの概念図 まず一連のアイデアをブレインストーミングし、その新規性を評価 次に自動コード生成の最新の進歩を活用したコードベースを編集し、新規アルゴリズムを実装する その後実験を行い、数値データと視覚的な要約などを収集する その結果を説明し、文脈化する科学論文を作成 最後に査読を行う一方で同社は、The AI Scientistが悪用される可能性についても言及。論文作成が自動化が進むと、査読する人の作業量が増え、科学論文の品質管理を妨害する可能性があるとしている。このため「AIが作成した論文などにはその旨を表示し、透明性を確保する必要がある」と考えを述べている。
ただし、The AI Scientistによって人間の科学者の役割が減少するとは考えていないと同社。「むしろ、科学者の役割は変化し、新しいテクノロジーに適応し、より上位の階層に立つことになるだろう」との見方を示している。
The AI Scientistに関する論文は、論文投稿サイト「arXiv」(アーカイブ)で公開中。また、GitHubではThe AI Scientistのオープンソースコードと、詳細な実験結果を公開している。
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