ソフトバンクグループは2月3日、米OpenAIと米Arm、ソフトバンクと共同発表会を開催し、企業向けAI「Cristal intelligence」やOpenAIとの合弁会社「SB OpenAI Japan」の設立などを発表した。また、ソフトバンクグループからOpenAIに対して年間30億米ドル(約4500億円)を支払うなど、AI領域への前のめりな姿勢を示した。
発表会後半では、ソフトバンクグループの孫正義代表取締役と、OpenAIのサム・アルトマンCEOとの対談も実施。この記事では、約50分に渡って行われた対談内容を、通訳を基に全編を通して文章化。その全貌をお届けする。
孫 今日の発表、非常にうれしく思っております。「Stargate」についてはどう思われましたか?
サム 素晴らしい瞬間に居合わせることができました。本当に発表できるのか、なんて話もしてましたけど、本当にできましたね。
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孫 これは結構長いこと話をしていて、どうすれば実現できるかという話をしてたと思います。実現できて本当にうれしいです。これからコンピュータが本当に重要な時代になってくると思います。
小規模モデルでいろいろなことができるようになりますが、AIがさらに進化していくということは、ますますコンピュータの演算能力が必要となってくるということです。AIモデルを作るために間違いなく、何百何千という演算能力が必要となっていくため、大規模な事業を進められるのは非常に素晴らしいと思っています。
以前「AGIがいつ来るんだ?」「コンピュータのパワーはどれくらい必要になるのか?」など、サムに聞いたことがありましたね。そのときの答えは「大きければ大きいほどいいんだ」という話でした。非常にシンプルな答えだったと思います。大きければいいということは、つまりたくさん必要なんだなと。それをかなえるためにStargateを発表しました。
限定的な演算能力ではなくて、より多くの能力があった方がいいというのは間違いない。人によっては「小規模でもできる」と言うかもしれないが、それだと得られるリターンも小さくなる。
サム 多くの人は、リターンがどれだけ大きく変わるかという部分を分かっていません。小規模モデルでも、大きなコストかけた方が大きなリターンがあると思います。
孫 インターネットの創世記を思い出します。われわれがインターネットを始めたとき、95年でしたでしょうか。このころPCは、非常に処理に時間がかかり、お金も大きくかかった。そこからブロードバンドが入ってきて「なんでこんなに容量が必要なんだ」「帯域がなんでこんなに必要なんだ」と言われました。
より多く容量や帯域があることで「これで十分だ」「もういらない」と言う人もいたかと思います。でもその後、より高画質の写真や動画が登場しました。そうすると、容量がもっと必要だということが分かってきたわけです。
また最初のころは「インターネットはバーチャルなことだから本当に使えるものはない」と言う人も多かったし「基本的には無料サービスばかりだから、ビジネスモデルも生まれない」と批判する人もいました。しかし、現在GAFAがいるように、それとは逆になっています。
サム 「AIはどれだけ賢くなる必要があるんだ」と聞かれますが、賢ければ賢いほどいいと思っています。そうすることで難しい質問や問題を解決することができるわけですから。
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