日本では多層伝言ゲーム型のビジネスモデルが多いというが、海外ではどのような状況なのか。上野山代表は「相対的に、日本ほど多層型の構造になっていない」と指摘する。その理由として、海外では社内にソフトウェアエンジニアなどのデジタル人材がいるケースが多い点を挙げている。そのため、日本よりもデジタルリテラシーが高い人材が管理職などに就きやすいという。
また日本では“人間側のオペレーションにシステム側が合わせる”慣習が過度にあるとも指摘。米国ではジョブ型雇用が浸透しており、人間も一つのモジュールとして扱う側面もあるという。人材の移動が多いため“その会社ならではのソフトウェア”としてカスタマイズすることによるデメリットも大きいと上野山代表。
「米国では、“人間がソフトウェアに合わせる“慣習が過度にある。結果として作りこまれたソフトウェアをあまり作らない」(上野山代表)
このため、エンジニアがライトに使えるソフトウェアで十分となるため、多層伝言ゲームによる開発を必要としないとしている。
従来の日本型のビジネスモデルではなく、独自のビジネスモデルでAI活用の普及を進めるPKSHA Technology。そんな同社が2月13日に発表した2025年9月期第1四半期業績(24年10月1日〜12月31日)では、売上収益が48億6400万円(前年同期比25.9%増)、事業利益10億3900万円(同32.5%増)、当期利益が13億9500万円(同156.0%)と成長を示した。
一方、米OpenAIとソフトバンクグループは、合弁会社・SB OpenAI Japanの設立を発表。日本の主要企業に対して企業向けAI「Cristal intelligence」を独占的に販売する方針を掲げており、国内でのAI事業の展開に力を注ぐ姿勢を示した。
このような国内のAI市場の動きに対して、上野山代表は「広大なマーケットにプレイヤーが入ってくるのは当然のこと。われわれが掲げるビジネスモデルは実際に取り組むとなると、めちゃくちゃ難しく、模倣もできないと思っており、だからこうして公開している。日本全体でAI事業が盛り上がっていくのは素晴らしいことだと思う」と見解を示した。
【修正履歴:2025年2月27日午前10時40分更新】本文の表現を一部修正しました。
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