トップ人材は、生成AIをこう使う
「ゼクシィ」「R25」を生んだリクルート新規事業制度──その運営者は、生成AIをこう使う
ChatGPTの登場から数年。後続サービスも続々と誕生し、ビジネスにおいて生成AIの活用は当たり前になりつつある。一方、毎日のように更新され続ける情報に追い付けず、まだその真価を発揮し切れていないという人も多いだろう。
そこで本連載では、エグゼクティブやインフルエンサー、企業内のAI活用推進者などの生成AI活用法に注目。圧倒的な実力を発揮する“トップ人材”たちは、どんな生成AIをどのように使いこなしているのか。そしてそんな人材を抱える企業は、どのようにAIを利活用しているのか──業界や職種を問わず追いかける。
今回は、リクルートの新規事業提案制度「Ring」や、それに伴う壁打ち用の制度「Ring Meet」の運営を管掌する宗藤和徳さん(リクルート経営コンピタンス研究所 Ring事務局部長兼新規事業開発室)に注目。同制度に関するAI活用も推進しているという宗藤さんが推進するAI仕事術を紹介する。
宗藤さんが利用する生成AIサービス・LLM
- AIかべうち君:Azure OpenAI Serviceを活用した社内ツール。Ringなどの利用者に提供。
- AIしらべる君:Azure OpenAI Serviceと検索API「SerpAI」を組み合わせた社内用のWeb検索ツール。新規事業のアイデアに関する競合調査用に、Ringなどの利用者に提供。
- AIみなおしさん:Azure OpenAI Service経由でGPT-4oを活用し、事業プランの懸念点を指摘する社内ツール。Ringにおける過去の審査コメントや、過去のエントリーシートと指摘のセットデータを学習させ、新しいシートに対する指摘を行う。
- ChatGPT:上記ツールによって生まれた新規事業案の審査の補助に活用。
本人コメント
新規事業提案を促進、支援、審査する立場です。これまで事業開発経験者などに自分の事業プランを壁打ちできる仕組みを提供してきましたが、経験や知見がある人だからこそ「“ゆるい”アイデア段階では相談しづらい」「相手が忙しくて日程調整が困難」という声も出ていました。
そこで、初期段階の壁打ちをAIが担うことができれば、相談したい時にいつでも気軽に相談できるのではと考え、AIかべうち君を開発し、2023年にリリースしました。先にAIに相談していれば、人間相手に相談する際にはすでに論点が整理できている状態になるので、短時間で鋭いフィードバックが受けられるようになるのでは、とも考えていました。
導入後、「AIかべうちくん」の利用者のうち84%が、人間相手の「Ring Meet」は未利用というデータが出ました。人相手の壁打ち依頼は気が引けてしまっていた方たちにも、機会を提供することができたと実感しています。
また、Ring Meet利用者も91%が「AIかべうち君」を併用するようになり、人に相談する前の論点整理やブラッシュアップにも利用されていることが分かりました。
新規事業の検討プロセスにおける不便を生成AIでもっと解消できるという議論になったため、AIかべうちくんのリリースから10カ月後、AIしらべる君もリリースしました。2025年からは、エントリー前に審査員目線で事前レビューをしてくれる「AIみなおしさん」というツールも展開しています。これは過去数年分のRing審査員によるコメントの傾向を学習したツールで、起案者が指摘を受けやすいポイントを事前レビューしてくれます。
現在、Ringは年に一度の審査となるため、不通過だった方がリベンジできるのは1年後になります。そのため、つぶせる懸念点は事前につぶせるようにした方が、起案者にとっても審査員にとっても事務局にとってもうれしいのでは、という背景から開発しました。まだリリースしたばかりとなりますが、今から皆さんの反応が楽しみです。
また、単体ではなく、シリーズで活用してもらえるよう、AIみなおしさんリリースのタイミングで各サービスのリブランディングを行いました。
より親近感をもってもらうこと、主人公は起案者本人であること、異なる個性をもったツールたちが力を合わせて支えてくれることを伝えるために「ももたろうシリーズ」として展開。かべうち君は「AIかべうちサル」、しらべる君は「AIしらべるイヌ」、みなおしさんは「AIみなおしキジ」とネーミングを変更し、キャラクターアイコンたちも刷新しました。
また、私自身も良きアドバイザーとなれるようテクノロジーの力も借りながら精度を高めていきたいと思っています。例えば、ChatGPTにはプロンプトで「原理原則の熟知」「前提の白紙化」「常識の超越」「反転思考」といったあらゆる思考方法を指定し、時には「◯◯専門家」になりきってもらいながら、「思考の枠破壊」「反証」「手段の融合」といった(考え方を)プロンプトで指示して、年間約1000件の提案をチェック。あらゆる角度で可能性を発見することに役立ています。
次回の記事では、営業支援サービスを手掛けるSansanのトップ人材に注目。同社で“AI活用上手”として知られるという人材のAI活用法を紹介する。
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トップ人材は、生成AIをこう使う
本連載では、エグゼクティブやインフルエンサーの生成AI活用法に注目。圧倒的な実力を発揮する“トップ人材”たちは、どんな生成AIをどのように使いこなしているのか──業界や職種を問わず追いかける。
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