ChatGPTの登場から数年。後続サービスも続々と誕生し、ビジネスにおいて生成AIの活用は当たり前になりつつある。一方、毎日のように更新され続ける情報に追い付けず、まだその真価を発揮し切れていないという人も多いだろう。
そこで本連載では、エグゼクティブやインフルエンサー、企業内のAI活用推進者などの生成AI活用法に注目。圧倒的な実力を発揮する“トップ人材”たちは、どんな生成AIをどのように使いこなしているのか。そしてそんな人材を抱える企業は、どのようにAIを利活用しているのか──業界や職種を問わず追いかける。
今回は生成AIを利用した、営業のトレーニング機能などを提供しているSansanに注目。同社の営業職で、営業チーム内でのAI活用を推進しているという伊藤啓道さん(Sansan事業部 SMB西日本営業部 関西MBチーム)によるAI仕事術を紹介する。
Notion AIを日々の業務に取り入れ業務効率化に取り組んでいます。
私の取り組みは、Sansanの営業における商談前から商談後までの一連の流れを体系化・効率化したことです。まず、散在していた情報をNotionのデータベースに集約することから始めました。
次に、ChatGPTを使って蓄積した情報の中から、営業活動に役立つ情報を効果的に引き出すプロンプトを作成しました。さらに、社内の誰もが同じ品質でAIを活用できるようプロンプトのテンプレート化を進めました。これを社内展開することで、他の社員が蓄積した情報も活用できるプラットフォームの構築を目指しています。
これにより商談準備の効率が向上しました。過去の成功事例やナレッジをもとに、AIが最適な提案アプローチを示してくれるため、準備時間を4分の1程度まで削減できています。
効率化だけでなく、質の向上も実感しています。商談後すぐに顧客に個別化したメール(特に面談内容を反映したもの)を送付し、提案書まで作成できるようになり、顧客体験は格段に向上しています。結果として、受注件数の増加と受注までのリードタイム短縮を実現できました。
今後のAI活用については、よりリアルタイムな活用に注目しています。顧客との会話から重要なシグナルを検出し、適切なタイミングでフォローアップや提案ができるようになると考えています。
これらのツールを組み合わせることで、単なる効率化を超えた質の高い営業活動を実現できています。ただし、最終的な判断や戦略立案は人間が担うべきと考え、AIは補助ツールとして位置付けています。今後も新しい技術を積極的に取り入れながら、人間ならではの価値提供を追求していきます。
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