AI活用で“激変”のサイバーエージェント自社メディア 立役者に聞くAI活用法：トップ人材は、生成AIをこう使う

[島田拓，ITmedia]

　ChatGPTの登場から2年半。後続サービスも続々と誕生し、ビジネスにおいて生成AIの活用は当たり前になりつつある。一方、毎日のように更新され続ける情報に追い付けず、まだその真価を発揮し切れていないという人も多いだろう。

　そこで本連載では、エグゼクティブやインフルエンサー、企業内のAI活用推進者などの生成AI活用法に注目。圧倒的な実力を発揮する“トップ人材”たちは、どんな生成AIをどのように使いこなしているのか。そしてそんな人材を抱える企業は、どのようにAIを利活用しているのか──業界や職種を問わず追いかける。

　今回は、サイバーエージェントの事業や社員の働き方を紹介するオウンドメディア「CyberAgent Way」における生成AI導入事例に着目。IR・SR室のWebPRチームリーダーで、AI導入の立役者という山下陽司郎さんに、仕事でのAIの活用法を聞いた。

山下さんが利用するAIツール

• Dify：記事の作成や編集

具体的な活用方法

　サイバーエージェントのコーポレートサイトを中心に、オウンドメディアの管理・運営を担当する山下さん。生成AI向けノーコードツール「Dify」を活用し、記事制作アプリを開発。営業資料やプレスリリース、過去記事などを読み込ませ、記事の体裁に整える仕組みを構築したという。

　山下さんは「アプリの導入により、記事制作のフローそのものが大きく変化した」と話す。

　「アプリの導入により、記事制作のフローそのものが大きく変化した。従来は企画立案から骨子作成、取材を経て記事をまとめる流れだったが、現在はまず周辺情報を集め、AIでドラフト記事を作成。それを基に取材や追加編集を行う形へと進化した」（山下さん）

Difyの活用イメージ（1/2）

Difyの活用イメージ（2/2）

　さらに山下さんによると、事前に情報が十分そろい、AIの出力精度が高い際は「従来必須だったインタビューを省略し、加筆修正のみで記事を完成させるケースも増えてきた」という。取材の進め方についても「AIの推論精度を向上させるために、重要なポイントを強調・繰り返すなど、最適化を図っている」としている。

　なお今回のAI導入について「プログラムの知識がない状態から1カ月程度で実用レベルのアプリを作れた」という山下さん。「生成AIが登場した当初、記事制作への活用を試みた際には、部分的には使えるものの、品質面ではまだAI任せにはできないと感じていた。しかし、気付けば精度が飛躍的に向上し、実務に十分耐え得るレベルになっている」という。