国内初、「AI大学講師」導入 千葉工業大学が実証実験 ChatGPTの「GPTs」活用

[ITmedia]

　千葉工業大学は5月12日、生成AIが授業での学びをサポートする「AI大学講師」を、国内で初めて導入したと発表した。AIとデジタル証明書「Verifiable Credential」（VC）を組み合わせ、学生に個別に最適化した対話型の指導をするという。2025年前期の授業で実証実験を行い、教育効果を測る。

国内初、「AI大学講師」導入　千葉工業大学が実証実験スタート

　AI大学講師の開発には、人材開発や採用支援などを手掛けるDOU（東京都渋谷区）が協力した。仕組みとしては、学生が授業で取り組んだ課題や、発言などをデジタルデータとして記録。このデータを、事前に設定した条件に基づいて回答を生成するChatGPTのカスタマイズ機能「GPTs」に連携する。これにより、学生の質問に答えたり、勉強のアドバイスをしたりすることで、学習をサポートするという。

「AI大学講師」の仕組み

　記録したデータにはVCを発行することで、AI大学講師が誤った情報を回答するのを防ぐ。加えて、授業修了時には、学生が学んだ内容もVCとして発行し、就職活動などに活用できるようにする。

　ブロックチェーン技術や生成AIの基礎、ノーコードツールでのサービス開発などを学ぶオンライン授業「web3・AI概論」で、AI大学講師の実証実験を行う。従来の授業に比べ、学習内容の理解度や、授業の満足度などがどう変化するか検証する。

　千葉工業大学の伊藤穰一学長は、AI大学講師について「単なる自動応答ツールではなく、学生一人一人の思考プロセスを理解し、個別最適化された学びを促進するパートナー」と説明する。一方で「AIはあくまで教育支援ツールであり、教員がより創造的な教育活動に集中できる環境を整えることが本プロジェクトの目的」としている。

「AI大学講師」が教育現場にもたらす可能性