「オフィス環境って、本当に生産性に関係するの?」をAIで解明 イトーキ&松尾研が研究へ(2/2 ページ)
研究結果はオフィス改善提案に活用
イトーキは得られた研究結果を基に、データに基づいたオフィス改善提案サービスを開発する方針だ。新サービスでは、顧客企業のオフィスで従業員の行動データを収集・分析し、その企業に適した生産性指標の選定や、具体的な改善提案までを行うという。まずは25年後半から顧客企業での実験的なデータ取得を開始。26年中には本格的なサービス提供を目指す。
「業種ごと・業界ごとにパターンがあるはず。企業がその中から自社に適した指標を選べるようなパレットを作る」(湊社長)
顧客企業でのデータ取得に先んじて、イトーキ社内での先行調査も開始。すでにデータも得られているという。例えばオフィス内の位置情報分析では、特定のエリアで作業する社員のパフォーマンスが高いことが判明。一方で、多様な場所にバランスよく滞在している人の方がパフォーマンスが高いという傾向も見られた。
他にも、パフォーマンスが高い人同士、低い人同士が同じエリアに集まる傾向があることが分かったと大西氏。現在は、特定エリアでの作業がパフォーマンス向上につながるという相関関係を検証するため、実際に社員に特定エリアで1時間以上作業してもらい、その効果を分析中としている。
なお湊社長は、個人データの取り扱いについて、社内調査では「社員から書面で許可を得た上で、個人情報として扱わない形で実施している。参加したくない社員には無理強いしていない」と説明。提供予定のサービスについても、オフィス単位での生産性向上に焦点を当て、人事評価への活用は想定していないという。
「稼いでいる会社がオフィス投資しているだけでは」 イトーキに刺さった一言
イトーキが新サービスの開発や研究に至ったきっかけについて、湊社長は「そもそも生産性って何? というのが一番の課題」と話す。
「仮説で作ってきたオフィスは、意外に間違っていると気づいた。イトーキでは毎年本社の1フロアを改装しているが、直近では新卒や中途採用を増やしたので、先輩が隣に座ってモニターを見ながら教えられるエリアを作った。ところが、ほとんど使われなかった。実際は、先輩が後輩に教える時は『その辺の端っこ』に座って軽く教えることが多かった」(湊社長)
イトーキの八木佳子執行役員も「お客さまから『もうかっている会社がオフィスに投資しているだけでは?』と言われることがある。原因と結果の因果関係を解明することは、私たちのビジネスにとって重要」と話す。オフィス投資が本当に生産性向上につながるのか、それとも単に業績の良い会社が結果的にオフィスに投資しているだけなのか──それを明らかにするのが、研究の趣旨というわけだ。
研究に協力する松尾教授は「生成AIが業務プロセス全体を変革していく中で、人とAIの仕事のバランスも変わってくる。その中でオフィスの役割や、そこで果たすべき機能も連続的に変わってくるはず」とコメント。もし、オフィス環境と生産性の関係が明確になれば「(指標やその決め方を)世界標準にできる。シリコンバレーの企業が全部そういう仕組みでオフィスを使っていてもおかしくない」と期待を寄せた。
【訂正履歴:2025年8月13日午前11時】記事掲載当初「パレットの検討にはイトーキのデータも活用する。同社が24年2月から提供している、仕事場のデータを収集し、オフィス設計に生かすサービスで得た情報を活用。三菱UFJ銀行を含む60社のデータをAIで分析するという」と記載しておりましたが、一部に事実と異なる点があったため削除いたしました。お詫びして訂正します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia AI+に関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Markdownファイルが、AI時代の負債に? Googleが提案する「ナレッジ標準化」の一手
-
2
Claude、一部チャットがGoogle検索で“丸見え”に 過去には「ChatGPT」でも 漏えいの原因は?
-
3
なぜ、Microsoft 365 Copilotは「会社の仕事を理解する」のがうまいのか?
-
4
法人被害45億円、元警視庁が解説「会話もできるAI詐欺」の手口と対策
-
5
Hugging Face、AIエージェント侵入の技術詳細を公開──OpenAIモデルが4.5日で1万7600回の攻撃操作
-
6
デジタル庁、AI基盤「源内」を被災自治体などに緊急提供 「平時をはるかに超える業務」対応のため
-
7
「Claudeより4割安い」 M365のExcel/メール操作を丸投げる「Copilot Cowork」“従量課金”の落とし穴
-
8
千代田区、Copilot全庁導入で月2000時間削減 10カ月でAIを根付かせた定着の仕掛け
-
9
医療文書の作成時間を30分から5分へ、生成AIで現場の業務効率化
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
SpecialPR
ITmedia AI+ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmedia AI+をフォロー
あなたにおすすめの記事PR