対談では、山田代表が、新規事業に関して「20個って、AIの稼働やクラウドを含めて、まあまあな投資になるのではないか。どのようなスピード感で実行しているのか」と質問する一幕もあった。
これに対し、住吉氏は「結構早い」と回答した。「新しいプロジェクトを作る場合には、ある程度枠組みを決めて、その枠組みの中であれば、自分の下の何人かがそれをジャッジできるという構造」と説明。経営層の判断を経ずに、新規事業を始められる状況になっているという。
また山田代表が「ちなみに20個(の新規事業)をやって、どれぐらい当たればいいななど、社内で議論しているか」と聞くと、住吉氏は「ドンピシャの数字は言いづらいが、もちろん『これぐらいをちゃんと作りましょう』というのはある」と返答。「うちの会社の規模を大きくできるものにしないといけない」とした。
なお、ディー・エヌ・エーはAIの事業活用に当たり、スタートアップと積極的に協力する方針も示している。その意図について住吉氏は、「5から10年後に振り返った時に『うわ、何であのアイデア思い付かなかったんだろう』というのがたくさん出てくるのが、この2025年、26年ぐらいだと思う」と話した。
AI活用を前提とした組織作りに関する問答もあった。現業の社員を半分に減らすとなると、組織への影響は計り知れない。改革後はどのような組織を想定しているのかという質問に対し、住吉氏は「まだわれわれとしても見え切っていない」としつつ「人の代わりにAIのマネジメントをしっかりやるといった発想の組織になるのでは」との展望を示す。
そのためには「AIの挙動を理解できるリーダー」の育成を推進する必要があると考えており、社内のAIエンジニアに気軽に専門知識の質問ができるチーム体制などを意識しているという。
ただ、実践的なAI活用の浸透については失敗もあったと住吉氏。最初はナレッジ共有だけで済ませていたが、なかなか浸透しなかったという。原因について「皆さん日々の業務が忙しい。今はYouTubeで調べればノウハウ的なものは見つかるが『自分たちの組織にはこれは入らないかな』となってしまう」とみる。
現在は、短期集中で実践的にプログラミングなどの知識を学ぶ「ブートキャンプ」などを設け、社員のAI活用を後押ししている。ブートキャンプでは、実際にプロンプトを書いてみて生成AIの出力を学んだり、米Googleが提供するデータ分析・機械学習向けのプラットフォーム「Kaggle」を触ったりするといった内容を提供。1日のうちの時間を確保して、手を動かしながらAI技術を学べるようにしているという。
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