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成人向けゲームで、イラストレーターが“AI絵”を納品→契約違反で差し替えに 「著作権の所在不明」と運営元

» 2025年09月18日 15時35分 公開
[ITmedia]

 成人向けゲーム「龍脈のアナザーエイドスR」を運営するHabbit(東京都新宿区)は9月17日までに、同ゲームの一部のイラストで、納品時の契約違反があったため、差し替え対応をすると発表した。担当イラストレーターが画像生成AIを利用していたと判明。「該当イラストにおいて、著作権の所在が不明な部分があることが確認された」としている。

「龍脈のアナザーエイドスR」公式X(撮影:編集部)

 同作は、攻めてくる敵から拠点を守るタワーディフェンスゲームで、WindowsとMac、Android向けに配信している。ゲーム内に性的・暴力的なコンテンツが含まれるため、レーティングは成人向けだ。

 今回、差し替えとなるのは、イラストレーターのすあまる氏が納品した「エイドス装備【教えて!フォーカー先生】にて開放されるスチルイラスト」の一部のイラスト。その中でも、1枚目の右奥の人物部分という。同イラストは、2025年4月から同ゲーム内で公開されていた。

 Habbitによると、同氏は画像生成AI「Stable Diffusion」をイラストの制作過程で利用したという。具体的には、同社のレビューを通過したラフ線画を読み込ませて形状を反映し、プロンプトにより、全体の色味やディティールの方向性を指定。出力結果をもとに、同氏が細部の加筆や色補修などを行ったとしている。

 なお同社は、問題のイラストについて「特定の物件をトレースしたわけではない」と補足。「どなたも個人に対する問い合わせ、誹謗中傷を控えていただきますようお願いします」と注意を呼び掛けている。

 問題のイラストに対し、同社は「イラストレーターの作画と、Stable Diffusionからの生成物によるコラージュであり、納品物件はイラストレーター自らが『納品物件の全ては自己の著作である』と表明できない状態だった」と指摘する。契約上の「著作権に関する表明保証違反」に当たるため、イラストの差し替えるとした。

 「Stable Diffusionは、イラストの生成AIツールに属し、初期モデルはLAION-5Bという画像と、その画像を説明するテキスト(作者など)のペアを集めたデータセットを学習元としています。これらの学習元は、Webを自動巡回して収集された画像であり、その収集先の大多数が、特に著作元に断りなく収集されたものです。これらの学習元データなくして、納品物件と同一の結果を再現することは不可能だと考えており、無断収集された学習元への依拠性が十分にあるものと当社は考えます。また、強い類似性を持つ出力結果が他に存在することからも独自の著作とは認められず、学習元と類似した出力結果のコラージュであると判断しています」(Habbit)

 同社は、同様の事案の再発防止に向け「すあまる氏へ契約順守の再徹底と、具体的に生成AIそのものの利用を当社案件では一切止めていただく旨を宣誓いただいた」と説明。「既存の検品検収プロセスにて特定される修正箇所(細かな塗り残し、消し忘れなど)の過去作品との量的比較を行う」としている。

 今後、問題のイラストが使われたゲーム内装備を持つユーザーに対し、ゲーム内アイテムによる補償を実施。同イラストは、すあまる氏が修正し、同社内で確認の上、差し替える。なお「現在開催中のイベントと関連する未公開イラストにも同様の問題が確認されたため、対象イラストの差し替えはイベント終了後(2025年11月頃)を予定している」とした。

【タップで拡大】Habbitの発表全文(1/2、出典:プレスリリース)
【タップで拡大】Habbitの発表全文(2/2)

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