tsuzumi 2の開発で意識したのが、データやシステムを国内インフラ内で完結させる「ソブリンAI」だ。現在、LLMの開発では、米OpenAIやGoogleといった巨大IT企業が影響力を持つ一方、安全保障や産業競争力の観点から、国内で開発したAIを重視する動きがある。
島田社長は、各国に特有の文化・歴史的な背景や、使用される言語があるとして「それぞれの国に適応したAIが必要というのが、世界の大きな流れ」と分析する。tsuzumi 2は、AIモデルとしては比較的小規模ながら「経済効率を追求しつつ、いかに性能を高めていくか。いかに学習能力を効率的に高めるか」という観点を重視したと説明した。
他方、ソブリンAIを巡っては、ソフトバンクなど国内の競合も開発に乗り出している。記者からの「今後、ソブリンAIの開発で他社と連携することはあるか」との問いに対し、島田社長は「ここは負けられない」と意気込みを見せた。
「tsuzumi 2は、われわれの40年間の日本語に対する研究成果を費やし、フルスクラッチで開発した国産LLM。そういう意味では、ここは負けられないなと思っている。富士フイルムビジネスイノベーションとの連携のように、お客さまにより便利なサービスを提供するため、今後もさまざまなパートナーリングはあると思う。ただ、基盤となるところは、研究所の技術を入れ込み、進化させていきたい」(島田社長)
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