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花江夏樹さんやKizunaAIさんのAI音声を提供、NTT西 ブロックチェーン活用で“声の権利保護”うたう(2/2 ページ)

» 2025年10月27日 19時26分 公開
[島田拓ITmedia]
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“声の権利”をどう守る?

 NTT西日本がVOICENCEを開発した背景には、声と生成AIを巡る問題がある。23年ごろから本人そっくりの音声を再現するAI音声合成技術が普及。声優の声を無断でAIに学習させ、朗読させるカバー動画などが問題になっていた。24年10月には、声優の山寺宏一さんなどが参加する「『NOMORE無断生成AI』有志の会」が発足し、声の無断利用をやめるよう呼び掛ける動画を公開していた。

 一方で、日本では声そのものの権利を守ることに特化した法律はなく、肖像権やパブリシティー権の一部でしか対応できない。NTT西日本は、声と生成AIを巡る問題に一石を投じるサービスとして、VOICENCEを提供していく考えだ。

 VOICENCEカンパニーの責任者を務める花城高志氏は、VOICENCEについて「海賊版(のAI音声)を直接的に検知するなど、抑止効果があるものではない」と説明する。一方で「われわれが目指しているのは、許諾を得られたものとそうじゃないものの区別があるという点を、利用者を含めて認識してもらうこと」と語った。

 「(AI音声に関し)何が良くて何が悪いのかというリテラシーを引き上げていくフェーズだと思っており『これは本人の許諾を得て作成したものです』ということを発信していくことが第一歩」(花城氏)

花城氏

 他にも「品質の勝負」という観点もあると花城氏。「良いものがあれば、ユーザーはそれを選び、使うようになる。海賊版よりクオリティーが良く、みんなが喜ぶものを作っていけば、(海賊版は)自然に淘汰されていく」との見解を示した。

 加えて、VOICENCE事業では、NTT社会情報研究所が作成した声の権利に関する解説資料を活用し、法的・社会的な声の権利保護を推進する。花城氏によると、内閣府の知的財産戦略本部ともコンタクトを取っているといい、国のAIと知的財産に関する取り組みとも連携しながら事業を進める方針だ。

TT社会情報研究所が作成した声の権利に関する解説資料も活用

【修正履歴:2025年10月27日午後9時】記事掲載当初、タイトルに「花江夏樹さん、KizunaAIさんのAI音声を提供、NTT西 ブロックチェーン活用で“声の権利保護”うたう」と記載しておりましたが、一部に誤解を招く表現があったため「花江夏樹さんやKizunaAIさんのAI音声を提供、NTT西 ブロックチェーン活用で“声の権利保護”うたう」に修正しました。



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