第三次AIブームから生成AIブームでAIは進化しましたが、人間は進化していません。むしろ時間をかけて同じ事を繰り返すのは退化でしょう。過去のブームと失敗から10年かけてもAIに対する理解は進まず、手間とお金をかけても成果は得られず、都合の良い話ばかりが悪目立ちしています。
既にSNSや動画には自分の利益に誘導する都合の良い情報ばかりがあふれており、生成AIツールを利用する初心者やビジネスパーソンにとって、真偽の判断ができません。そこで生成AIの情報収集において、SNSの利用を見直しましょう。そもそも生成AIツールを利用する立場なら、最新情報を把握する必要性はありません。
不安定な最新機能や謎の新ツールに時間を使うより、状況が落ち着いてから安心して使えるものを選べば問題ありません。最新情報に対する過大評価を見直しましょう。新たな情報収集として勧めたいのは、本です。出版では動きの早い生成AIに追い付けない面はあるものの、最新情報に振り回されるよりも信頼できる情報源で深く理解することが大切です。
一方、生成AIの本も大量発売されており、良い本を選ぶのが難しい面もあります。本を選ぶ基準として「売れている本=良い本」ではありません。本連載において2025年に売れた生成AI本を調査したところ、作者の主張に対する根拠が薄かったり、都合の良い点ばかりを強調する内容でした。
さらに高評価が多い本の作者が開催するイベントでは、参加者に特典を渡す条件が本のレビュー投稿であり、恣意的な評価の懸念があります。特定の出版社においては作者の知名度や話題性を重視してインフルエンサーばかりを起用しており、本の強みである信頼性や品質を軽んじている点も注意が必要です。
それでも話題性と売上を優先した本を除けば、多くは信頼できるものです。生成AIに詳しくなるなら、スマホでSNSを見る前に街の書店に足を運びましょう。どうしても最新情報が必要なら、公式発表を確認するなど、信頼できる情報源を直接目にしてください。
生成AIは普及と進化を続けており、止めることはできません。否が応にも生成AIが当たり前になった社会で生きることが求められます。それでも生成AIによる悪徳商法が放置されたままでは、問題が残ります。
かつてIT企業は「虚業」「実体がない」「汗をかかずに金もうけ」などと批判されました。同じ轍を踏まないためにも明らかな虚偽や大げさな表現、都合の良い話、グレーゾーン、悪徳商法を野放しにせず、対策しなければいけません。
たとえ生成AIが便利な技術であっても、悪用が増えれば利用や普及を妨げる強い法規制が敷かれることも想定されます。既に仮想通貨においては、諸問題から罰則強化が進んでいます。むしろ第三次AIブームと比べて、社会一般にAIが普及したおかげで、被害が増えています。特に消費者向けにおいて生成AIを悪用した悪徳商法は、行政機関における監視と摘発が追い付きません。
まずできることは、SNSにおける都合の良い情報に対して注意喚起です。X(Twitter)においては「コミュニティノート」という機能があり、誤った情報が拡散されないように注釈をつけることができます。また、コミュニティノートがつくと閲覧数に応じた収益化が無効になります。
Xに限らずSNSで注目を集める投稿が繰り返される背景は、閲覧数に応じた収益構造に起因しています。収益化を狙って煽り表現を用いた投稿に対しては積極的にコミュニティノートで指摘しましょう。
一方でスクールやコミュニティーにおける悪徳商法は立証が難しく、摘発も後手に回りがちです。被害者が泣き寝入りしたり、裁判費用などの面から諦める状況があるためです。悪徳商法を行う側は、もうからなくなれば別の分野に移るだけです。一昔前はプログラミングスクールにおける悪徳商法が指摘されました。同じことが生成AIでも繰り返されています。
実際に同じ人物が運営するプログラミングスクールと生成AIスクールにおいて、不正が指摘されています。結局、情弱ビジネスに対抗するには「都合の良い話はない」という本人の自衛しかありません。
これに関しては、別の分野から学べる点があります。不動産業界の格言として「向こうから来る物件は全部クソ」という言葉があります。「良い物件ならわざわざ他人に紹介しない」という意味です。生成AIにおいても都合の良い話は、最初に疑いましょう。
26年3月時点において、生成AIブームは現在進行形です。一方でAIはどれだけ人々に貢献したでしょうか。人々によるAIの理解と活用は進んでいるのでしょうか。いつまでもAIへの理解が進まず、情弱を利用して搾取するビジネスで終わるのではと懸念があります。一方で、成果につながる事例もあります。
そこでいえる事は「面倒で泥臭い作業を担当者が地道に続ける」という極めてまっとうな取り組みだけです。この事実は社内事情であるためSNSには投稿できず、取材記事などの形で公開されても話題になりません。怪しいインフルエンサーが「生成AIで日本を元気に!」と大言壮語しながら、最新の生成AIツールが動かす動画を転載をするほうが閲覧数を稼げます。
こんな現実ですが、本連載を読んでいただいた方々には、会社で目の前にある面倒な仕事をAIで何とか解決しながら、1cmでも前進してほしいと願っています。
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