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「Mac購入者はAppleロゴに500ドル払っている」――MSバルマーCEO

» 2009年03月24日 08時02分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 明らかに、MicrosoftのCEOはApple製コンピュータの価格設定を気に入っているようだ。彼の言うところのプレミアム価格が、消費者にWindowsを買いに走らせているのだという。

 スティーブ(・バルマーCEO)は3月19日、Business Weekのスティーブン・アドラー編集長からの幾つかの質問に答えた。彼はMcGraw-Hill開催の2009 Media Summitのためニューヨークを訪れており、その場でMacを以下のように批判した。

 Appleはある1点では勝っていたが、今や潮流が逆向きになったと思う。今の景気は追い風だ。この状況で、ロゴを手に入れるために、コンピュータ――同じハードウェア――に500ドル余計に払うことは、普通の人にとって以前よりも難しくなっていると思う。

 Macの売り上げが1月2月に減少し、Windows PCの販売が増えていることは否定できない。だが、ロゴに500ドル払ってるだって?

 それがどうした。スティーブはDell、HP、LenovoのロゴがないWindows PCを持っているっていうのか? 自分でホワイトボックスPCを組んで、HPより500ドル安く上がったのかもしれないけど、さあどうかね。それはさておき、昨日のMedia Summit Webストリームは見逃してしまったが、TechFlashのトッド・ビショップが音声を録音していたのが役に立った。トッドはスティーブのコメントをブログに書いている。

 スティーブは米国産車に乗っているくらいに忠実な企業マンだ。Apple製品を持っているかと聞かれた彼は、こう答えた。

 まったく持っていない。わたしも、息子も、妻もだ。皆さんとここで話しているのは、Ford社員を父に持つ人間だ。FordがLand RoverとJaguarを販売するとなったら、わたしたちはFordを買うためにこれらの車を売る。奇妙だと思われるかもしれないが。

 さて、あなたがスティーブ・バルマーの誕生日に何を買おうか迷っているのであれば、iPod touchがいいかもしれない。なんと、彼の誕生日は3月24日だ。プレゼントにMac miniはどうだろう? 彼はAppleロゴに500ドル余計に払ったあなたを笑うかもしれない。そのジョークはMacよりもずっといいプレゼントだ。スティーブがGenius Barに並ばずに済むように、Apple Careプランを忘れずに。

 スティーブはこれまで、Appleについてほかにどんな発言をしていただろうか? MicrosoftのWebサイトに保管されているスピーチやQ&Aから適当に彼のコメントを集めてみた。YouTubeのビデオも幾つか掲載した。

2008年10月12日、Microsoft Advertising Dayにて

 スティーブは「I'm a PC」キャンペーンについての質問にこう答えている。

 Windowsは97%(の市場シェア)を持っている。Macは3%だ、では、PCの定義とは何だろうか? かつてPCとはあらゆるコンピュータのことを指していた。今はどうだろう? PCとはWindowsコンピュータのことだ。そういうわけで、Appleはこの定義に多少の貢献をしたかもしれない。もしそうならわたしは満足だ。今のところ、最初のテストと調査によると、このキャンペーンがうまく聴衆の共感を呼んでいることが示されている。

1997年10月9日、Churchill Clubにて

 「Appleをどう考えているか、Appleは生き残れるか、生き残るのか、Appleが生き残るかどうかを気にする必要があるのか」という質問に次のように答えた。

 まずは、(生き残るかどうかは)Appleの今の戦略的決定と投資決定による。いずれにしても、わたしには分からない。次に、気にするべきかどうかというと、わたしはMacのことを気にしている。Appleのコンピュータ事業がうまくいかなかったら、とても悲しくなるだろう。同社は常に独自のやり方で価値を付加し、素晴らしい仕事をしてきたからだ。だからわたし個人の見解としては、気にしている。だが一般的な顧客、一般的な投資家が気にするべきかというと、分からない。

2006年5月16日、Commonwealth Club of Silicon ValleyとChurchill Clubにて

 MicrosoftはAppleをライバルと見なしているのかという質問に対して。

 Appleは間違いなくライバルだ。デスクトップOSをやっているのは誰かというと、AppleとMicrosoftとオープンソースコミュニティーだ。それにAppleは非常に立ち直りの早い企業だ。革新を生み出し、その革新が同社を押し上げ続けてきた。だがMicrosoftでは毎日たくさんの人が、彼ら(Apple)は何をやっているか、わたしたちは何をやっているか、わたしたちの得意分野は何か、彼らの得意分野は何か、どうすれば改善できるかを言ってくれる。わたしたちが大きな市場シェアを持ち続けていることは幸運だ。その大部分は、ハード企業、デバイスメーカー、アプリケーションベンダーの巨大なエコシステムを持ち続けることで達成されるのだと思う。これは当社の戦略にとってもっと根本的なものだ。Appleは端から端まで、わたしたちがやっている以上のことを取り込む傾向があり、サードパーティーがAppleのエコシステムに参加するチャンスは少ない。このようなエコシステムの選択が、わたしたちに恩恵をもたらしているのだと思う。

2007年3月15日、スタンフォード大学経営大学院にて

 Apple、Google、Yahoo!との競争について次のように答えた(このときAppleはiPhoneを発表していたが、発売はまだだった)。

 実際のところ、多くの人々、特に学校を出たての人々は、コンシューマー製品が大好きで、皆さんもそうした製品に夢中なはずだ。AppleはiPodで素晴らしい成果を上げた。iPhoneがどうなるか注目していきたい。わたしたちはXboxでいい仕事をした。皆さんの中にも、Xboxファンが何人かいるだろう。当社の携帯電話製品も、実際に勢いが高まっている。

2007年2月2日、Minority Students Dayにて

 iPhoneがZuneなどのMicrosoft技術に及ぼす影響についての質問に、以下のように答えている(Appleはこの数週間前にiPhoneを発表し、6月の発売を約束した)。

 わたしたちは優れた成果を上げるチャンスを得ており、Appleもそうだ。どのくらいの人がAppleのしてきたことが優れていると考えるだろうか。多くの人は、少なくとも1つか2つ、クールなものがあると思うだろう。通信プラン付き携帯電話に500ドル払うのが皆にとってどんなことか、わたしには分からない。だが、どんな理由があろうと、わたしには少々値が張るように思える。皆さんは500ドル出せるだろうか? 親御さんはそういうものをあげたがるだろうか? わたしなら、そんな高価なものは子供に持たせない。子供が何台携帯電話をなくしていると思う? わたしを含め、ここにいる人も、1度はなくしたことがあるだろう。

2005年2月16日、Cambridge Energy Research Association Weekにて

 スティーブは基調講演でこう語っている。

 一番乗りで革新を生み出せなかったとき、わたしたちにとっては憂うつな1日となる。昨年は憂うつな日が数日あった。Appleに、例えばiPodなどで負かされたいという人はいない。

2006年10月10日、Gartner Symposium/ITxpo 2006にて

 テクノロジーエコシステムに関する質問に対する回答。

 わたしが考えている真にクローズドなアプローチは概して良いものではない。Appleがそうだ。別にAppleをいじめているわけではない。ただ、彼らは成功しているが、やっていることはおおむねクローズドなアプローチ――ほかの誰もストアやプレーヤーを作れない――だから言っているのだ。周辺機器を作ることはできるが、Appleにかなりの金額を払わなければならない。コネクタが特許で保護されていたりするからだ。その一方で、彼らは包括的な優れたユーザー体験を実現できている。

2007年10月23日、CTIA WIRELESS I.T. & Entertainmentにて

 Microsoftのコンシューマー市場進出についての質問に、次のように答えている。

 Microsoftは2つの点で際立った企業だと思う。1つは、ビジネスモデルという意味で、これまでにやったことのないことも積極的にやっているという点だ。この業界のほとんどの企業には得意なことがあり、その能力を維持しているが、Appleのような企業は法人に進出したことがないし、IBMのような企業はコンシューマーの世界に踏み込んだことがない。わたしたちは両方へと手を広げようとしている。それがわたしたちに大きな独自性をもたらしていると思う。これは、わたしが話したワークスタイルとライフスタイルが出会うというビジョンに関連して重要だと思う。

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