『操作される脳』――ビジネスパーソンは管理される藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

アメリカ国防総省が研究する先端脳科学を紹介したのがジョナサン・モレノの『操作される脳』。まるでSFのような現実が、ビジネスパーソンにも与える影響を考えたい。

» 2009年05月15日 11時00分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]

 米国防総省国防高等研究計画局――通称、DARPA(ダーパ)。先端技術の軍事転用を検討するこの機関の研究内容は、ネットを通じてすべて知ることができる。その驚くべき内容を解説したのがジョナサン・モレノの『操作される脳』である。

脳をチェックし、コントロールする

 スキャンと呼ぶべき、外部から脳の血流を可視化するシステムが発達してきた。この技術が進めば、イメージするだけでその意味を機械が読み取り、接続した義肢を動かせる。手足が不自由な人に活用されるのは良いことだが、同時に強力なサイボーグも生み出せてしまう。裏を返せば、外部からヒトの感情ストレスを読みとることも可能だ。テロリストの危険な考えを飛行機搭乗前に知ることもできるわけだ。

 思考の理解に留まらず、化学的に、磁気的に脳へ影響をあたえる技術も発達してきた。応用させれば睡眠せずに過ごせるようになったり、記憶力や注意力を驚異的に伸ばせたりできるという。

ビジネスパーソンは管理される

 インターネットがそうであったように、軍事技術はやがて生活やビジネスにも応用される。昇進時や転職時に、会社への忠誠心や仕事へのストレス耐性を、脳スキャンで測定されることも考えられる。あるいは1日中、脳をチェックして、注意散漫になったらヘッドギアを通じて脳にショックを与えることも実現可能だ。

 LifeHackの主流が、脳いじりになる日も近いかもしれない。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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