“やまびこの色”が見える人たちBiz.ID Weekly Top10

「500色の色えんぴつ」が売れているそうだ。ユニークな色名の数々を眺めながら、「共感覚」と呼ばれる知覚現象のことを思い出した。

» 2009年07月14日 17時21分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 先週のBiz.IDでは「ドラクエに備えて――ビジネスパーソンのためのDSケース」が最も多くのアクセスを集めた。7月11日に発売されたばかりの「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」は、ネット上の各方面でもさっそく話題になっているようだ。通勤電車の中でもプレイしたい、でも仕事中にバッグからのぞくDSはちょっと気になる――という人は、イタリア産の高級革「ブッカーロ」を使ったこのケースに入れて持ち歩くのもいいかも。


 さて、筆者が先週気になったのは、フェリシモの「『500色の色えんぴつ』がバカ売れ」を伝えるニュース。Biz.IDでも三菱鉛筆の240色セットの色鉛筆(定価5万2500円なり)を取り上げたことがあったが、フェリシモはその倍以上の500色をそろえている。購入すると20カ月間に渡って、毎月25色ずつ届くというのも楽しそうだが、フェリシモの魅力は何といってもそのユニークな色名だ。

フェリシモ「500色の色えんぴつ」の公式サイト。全色名のほか、特定の色では「この色を好む人の性格分析」も読める

 公式サイトの「500色図鑑」を見てみると、「浅草の手焼きせんべい」「ファラオの時代のナイル河」「クリームソーダの弾ける泡」「お昼寝するチャウチャウ犬」「温泉の湯けむり」など、気になる色がずらっと並んでおり、気付くとぽけーっと10分くらい説明文を読んでいたりする。

 中には「やまびこ」「ポンパドゥール夫人の笑顔」「ベートーヴェン[田園]」など実際には目に見えないものを表す色も多いのだが、これを見て筆者が思い出したのは、「共感覚」と呼ばれる知覚を持っている人たちのことだ。Wikipediaの説明によれば、共感覚とは「文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする」感覚のことで、一部の人に見られる特殊な知覚現象だという。

 特に音を聞いて色を感じる「色聴」は絶対音感を持っている人に多いそうだが、「黄色い声」のような表現が存在するように、もしかするとそれなりに万人にも受け入れられる感覚なのかもしれない。ソムリエは、特定のワインやブドウの品種を指して「ぬれた子犬のような」とか「ネコのおしっこのような」なんて風に表現したりするらしいが、あれもある種の共感覚が働いているのではないか。

 500色の色えんぴつも、「初めに色ありき」だけでネーミングしたのではなく、音や味、香りなどのイメージを集めてから「じゃあやまびこの色ってどんな色だろう?」という風に色を作っていったのだとしたら、その作業はさぞかし楽しかっただろうなあ――なんて、500色のリストを眺めながら筆者は思うのだ。

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