今回はいよいよハンバーガーに挑戦します。作る前は「しょせん、焼いた肉と野菜をパンにはさむだけ、楽勝楽勝」と甘く見ていました。しかし、いざ作ろうとしてみると、次々と予想外の事態が……。
これまで、さまざまなサンドイッチを作ってきました。使ったパンも、食パンに始まり、コッペパン、ロールパン、フランスパンと複数種あります。
そんな中、まだ使っていなかったパンがあります。それはバンズ。言わずと知れたハンバーガー用のパンです。いつか対峙せねばと感じていた、サンドイッチの王様とも言うべきハンバーガーに、今回は挑戦することにします。
一説によると、ハンバーガーは、1904年にミズーリ州セントルイスで開催された世界博覧会の時に、ハンバーグステーキを食べやすいようにとパンではさんで売り出したのがキッカケだとのこと。
100年以上の歴史があるようですが、作る前は「しょせん、焼いた肉と野菜をパンにはさむだけ、楽勝楽勝」と甘く見ていました。しかし、いざ作ろうとしてみると、次々と予想外の事態が……。
ハンバーガーは、これまでのサンドイッチのように簡単ではなかったのです。
まずはバンズを用意しようとスーパーに向かったのですが、どこも販売していません。5店舗ほど回っても見つからないので、ついには業務用卸スーパーに足を伸ばします。が、そこにもバンズはありません。
業を煮やして卸売り店の店員に尋ねると、「需要がないから置いてない」と、にべもありません。しかも、「他店を回ってもたぶん見つからないよ、生産量が少ないからね。メーカーに直接問い合わせて客注(※)できる店を探したら? あ、もちろん、ファストフードチェーンや業務用に卸しているバンズは、一般には売ってくれないけどね」と悲しい返事が。
もしかすると、日本ではハンバーガーとは買うものであって、一からつくるものではないのかもしれません。
その後、問い合わせたメーカー(山崎パン)のフリーダイヤルでは、商品ラインアップに一応あることは確認できましたが、買える場所が判明しません(なぜ?)。オペレーターさんにしつこく食い下がり、工場兼営業所を紹介してもらえました。しかし、そこで買えるわけではなく、バンズを取り扱っている店舗の連絡先を教えてくれるだけ。指定された店舗に電話で注文をし、数日後クルマで取りに行く……というステップを経て、ようやく入手できました。
バンズを消費者に買わせたくない、目に見えない圧力がかかっているのでは? と疑いたくなるくらいの困難さでした。
バンズの問題は解決しましたが、次の問題がパティ(肉)。この連載は「あまり手をかけず、朝のすき間時間でもさっと作れる初心者向けのサンドウィッチランチ」を目指しているので、まずは出来合いのパティを探してみました。ところがこれもバンズと同様、どの店舗でも見つからないのです。あるのはいわゆるハンバーグ、ハム、ソーセージばかり。
しかたなく、今回は「インスタントハンバーグ」と「前日の夕飯の残りの手作りハンバーグ」の2種類で試作することに。……しかし、問題はこれだけではありませんでした。
それでは、いよいよ実食です。
まずはインスタントのハンバーグの方をひとくち。単体で食べればおいしいのでしょうが、ハンバーガーにはまったく合いません。正直に言います。すごくまずいです。水分を多く含んでおり、肉がフニャフニャで歯ごたえがありません。よって、柔らかいパンと合わないのです。
次に残り物のハンバーグ。インスタントよりはマシですが、うまいか? と言われれば、微妙……と答えてしまいそう。まずくもないけれど、おいしくもありません。
今まで作ってきたサンドイッチは、食材をパンにはさんだだけでそこそこの味を再現できました。しかし、ハンバーガーだけは別次元のハードルの高さを痛感しました。「材料を重ねるだけ」などと、身の程をわきまえない考えだったことを、深く反省しております。
材料を用意して積み上げるだけでは、おいしいハンバーガーにはならないのですね。完全にハンバーガーを見くびってしまっていました。いったい何が足りなかったのか? なぜ失敗したのか?自分なりに考えた結果、バンズとパティの質とバランスに行き着きました。
きっと「パティとバンズが、ポテンシャルを最大に引き出すそれぞれの厚さ、歯ごたえの黄金の法則」があるに違いありません。直感ですけど。すしのネタとシャリの関係のようなもので、ネタが大きければいいわけでもないし、シャリを固く握りすぎてもおいしくないのと同じようなものではないかと推測します。
今回、おいしく作れなかったことが悔しいので、バリエーションを変えて引き続きトライしてみます。なんとかして、おいしい手作りハンバーガーを実現させるつもりです。
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