手帳術をどう“インストール”するか2009手帳特集“超”入門編(2/2 ページ)

» 2009年12月01日 12時45分 公開
[舘神龍彦,Business Media 誠]
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たくさんインストールすると“重く”なる

 まずはっきりさせておきたいことがある。そういうワザを片っ端から試したりしない方がいいということだ。手帳術を少しでもかじった人なら知っているように、それらは手帳を使い続ける妨げにすらなるからだ。

 もしそれをやろうとすれば、次のような結果になることは想像に難くない。すなわち、

  1. どのワザも続かない。またはワザが多すぎてへとへとになる
  2. 続かない自分を責める
  3. 手帳を使うのがいやになる
  4. 手帳が真っ白のままになり、その状態に罪悪感を感じる

 手帳は使うことが目的ではない。そうではなく、手帳を使うメリットを享受するのが目的だ。すなわち、まめにメモを取ったり、座右の銘を書いてモチベーションを高めたり、タスクを効率的に管理できたりといったメリットを享受しなければ意味がない。

 手帳術を片っ端から同時に試すのは、新しい習慣を同時にいくつもやろうとすることである。従って、今までやっていなかったことをいくつもやることになる。これでは挫折して当然。手帳から遠ざかることは想像に難くない。

 では、どんなワザから導入すればいいのか。各手帳術は、続けられるかどうかの難易度の違いがある。要はこの難易度の低いものからやっていけばいいのだ。

ハードルの低いものからやっていく

 例えば、マルチペンを使って項目ごとに色分けして記入するのは、それなりにハードルが高い。新しいペンを購入する(≒選択に迷う)必要があるし、どの色で何を書くのかのルールを自分で考えて決めなければならない。まずは指南書が説明しているやり方を踏襲することになるだろうが、自分に合ったやり方が別に見つかるかもしれない。そして自分なりのやり方が定着するには時間がかかるだろう。いやそれ以前に挫折してしまうかもしれない。

 そうした挫折が、手帳から遠ざかるきっかけになってしまってはもったいない。

 だから、簡単なことからやっていこう。

 一例を挙げると、手帳の扉部分に自分にとっての座右の銘を記して、ちょくちょく見直すのは、見直す時間さえあれば簡単にできるだろう。記入も1回ですむ。

 雑誌の縮小コピーや写真をメモページに貼るのも簡単なテクニックだ。継続的にする必要もないし、道具もテープのりなどがあればいい。

 また、予定を記入するのに、前後の移動時間も同時に記入したり、予定と予定の間にバッファ的な空白の時間を入れるように記入するのは、予定に余裕が生まれる実際的なテクニックだ。

 このように、手帳術は簡単に実行できるものと、自分なりの使いこなしを考える必要があるものがある。それを区別することなく、なんでも同時にやろうとすると、結局はどれも続かない可能性が高い。

 それは手帳術に限らず、新しい習慣を身につけること全般に言えることだろう。

手帳術を“棚卸し”してみる

 別の角度から考えてみよう。

 世の中にあふれる手帳術指南書は、これら手帳術をその指南書の著者なりに試し、編み出した“オレ流手帳術”の集大成である。いろいろなツールを試して「このやり方なら続けられるし、結果が出る」と著者が考えたやり方を体系的に説明したものだ。

 そして、手帳術指南書の方法は、半分以上参考になることもあるし、1割程度しか役立たないこともある。著者の仕事や職種と読者が異なる場合もあるだろう。

 そこで手帳術の一覧表=手帳術チェックシートを1度作ってみることをオススメする。

 今使っている手帳でどんな手帳術を実行していくのか、それを一覧表にしておくのだ。とくに継続しないと効果のでないワザは、きちんと身につけないと効果が実感できない。

 例えば、作業時間の見積もりと実際の時間の記録などは、何度も何度も実行することで、やっと自分の作業スピードが見えるようになり、その短縮につながる=手帳術の効果を実感できるようになる。

 年末は手帳を買い換えるタイミングでもある。手帳を変えると記入欄のサイズが変わり、紙との相性を考えるとペンも変わる。2009年にやってきた手帳術が、2010年版手帳でも実践できそうかどうか、今から見極めておこう。そのためには、今やっている手帳術を棚卸ししてみるといいのだ。

著者紹介 舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

 アスキー勤務を経て独立。手帳やPCに関する豊富な知識を生かし、執筆・講演活動を行う。手帳オフ会や「手帳の学校」も主宰。主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)など。


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