これはAndroid版ポメラか、それともモバイルギアの再来か――LifeTouch NOTE仕事耕具

PC同等のフルキーボードとATOKを搭載、「いつでもどこでもテキストを打ちたい」人にぴったりなAndroid2.2端末が登場した。バッテリー駆動時間は9時間、価格は4万円弱から。

» 2011年02月15日 21時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 NECは2月15日、本格的なQWERTYキーボードを搭載したAndroid端末「LifeTouch NOTE」を発表した。

 コンセプトは「PCと携帯電話の中間領域」。スマートフォンにできることは全部できる、しかもPC並みにクリエイティブな作業もできる端末――LifeTouch NOTEの狙いはそこだ。1年間で10万台の出荷を目指す。

NEC製アンドロイド端末「LifeTouch NOTE」

フルキーボード+ATOK搭載、「快適なテキスト入力」への3つのこだわり

 LifeTouch NOTEの最大の特徴は、キーピッチ16.8ミリ、キーストローク1.6ミリとPCライクなキーボード。各社のスマートフォンを見れば分かるように、これまでのAndroid端末はタッチパネルで操作するものがほとんどで、文字入力をしたい場合はソフトウェアキーボードを使うことが多かった。LifeTouch NOTEは画面をタッチしての操作も、キーボードによる操作も両方行えるようになっている。

PCに限りなく近いキー配列。F10キーの右とTabキーの下にある、緑色の印字のキーがAndroid用のキー

 快適に日本語を入力できる環境を実現するため、ATOK for LifeTouch NOTEを搭載。Tabキーで予測変換、F6〜F10キーを使った各種変換といったPCライクな使い勝手と、携帯電話のような予測変換の両方を備えている。ATOK以外でも、[Menu]+[x]、[Menu]+[c]などの操作で、Windowsの[Ctrl]+[x]、[Ctrl]+[c]といったショートカットキーと同じ動作が行える。

 もう1つ、NECの「日本語入力へのこだわり」といえるのが、プリインストールされているエディタアプリ「ライフノート」だ。通常、メールを書くにはまずメールソフトを立ち上げて文章を書き始めるし、ブログを書くのであればブログの編集画面を開いてから入力を開始する。ライフノートが面白いのは、この順序が逆な点。「先に文章を書いてから、コンテンツの送り先を考える」という使い方なのだ。まずは思いついたことをライフノートに書き、それをメールアプリに送ったり、SNSに投稿したり、Evernoteに保存したりすることができる。ライフノートは文章を入力するだけでなく、内蔵カメラで写真を撮ったり、ギャラリーから呼び出したりした画像を文章に添付して、そのままメールアプリ、SNSの日記、ブログなどに投稿できるようになっている。

プリインストールアプリ「ライフノート」。テキスト入力だけでなく、写真を添付してブログやSNS、メールアプリやEvernoteなどに投稿できる

Androidスマートフォンにできることはすべてできる

 LifeTouch NOTEはGoogle認証を取得しており、Androidマーケットを利用できるほか、Gmail、Googleマップ、ナビといったGoogleモバイルサービスを利用できる。

 Androidマーケットには世界各国の言語のソフトが並ぶため、日本人が日本語でAndroidアプリを探しやすいようにという目的で、NECビッグローブが運営する「andronavi」のクライアントアプリもインストールしている。andronaviでは今後、掲載しているアプリがLifeTouch NOTEで利用できるかどうかなども明示していく方針だという。

見た目は「アレ」に似ている

 LifeTouch NOTEの本体サイズは、234×138×25ミリ(幅×奥行き×高さ)、699グラム。NVIDIAのデュアルコアプロセッサー「Tegra 2」(Tegra250モバイルプロセッサ、1GHz)を搭載しており、実際に触ってみた感触としても非常にきびきびと動作する。NECによれば、実働時間は最長で約9時間(Webサイト閲覧の場合)。動画再生で約8時間、YouTubeの動画再生で約7時間連続で動作するという。

 横長のワイド液晶(800×480ドット)でクラムシェル型ということもあり、パッと見た目はソニーのミニノート「Type P」に似ている。サイズも近い。あるいは、フルピッチのキーボード、テキスト入力に最適化――というコンセプトからは、キングジムのデジタルメモ「ポメラ」を思い出す人もいるかもしれない。ポメラとLifeTouch NOTEの最大の違いは通信機能があることだ。

 発表会ではLifeTouch NOTEを「ネットブックの6割くらいのサイズ・重さ。PCと違って開いたらすぐに起動して使い始められる。逆にバッテリー駆動時間は9時間と長い。PCにはPCの良さがある。外にいるときサッとメールを書いたり、ブログを書いたりといった使い方にLifeTouch NOTEを使ってほしい」と、用途による使い分けを強調していた。

 またNECといえば、かつて「モバイルギア」というモバイル端末を出していたことを覚えている人も多いだろう。フルピッチのキーボードに横長のボディ、乾電池で長時間駆動するというPDAだ。今回、LifeTouch NOTEを出すにあたり、「モバイルギアの名称を復活させてはどうか」という話も社内では起こったが、「NECとして、クラウドデバイスを『LifeTouch』という統一ブランドで作っていくことも大切なのではないか」という意見があり、LifeTouch NOTEの名称に決定したという。

カラーは3色、価格は4万円弱から

 製品のラインアップは、内蔵メモリの容量、通信手段の違いによって3機種。本体カラーは、ピアノブラック、バーミリオンレッド、チョコレートブラウンの3色から選べる。

 実売価格は、内蔵メモリ2Gバイト+SDカード2Gバイト、Wi-Fi接続の「LT-NA70W/1A」が約4万円、内蔵メモリ8Gバイト+SDHCカード8Gバイト、Wi-Fi接続の「LT-NA75W/1A」が約5万円、内蔵メモリ8Gバイト+SDHCカード8Gバイト、SIMスロットが付いておりWi-Fi接続のほかFOMAハイスピードでも通信可能な「LT-NA75F/1A」は5万5000円前後になる見込みだ。無線LAN対応のWi-Fiモデル2機種は3月10日から、無線LANのほかFOMA ハイスピードに対応したモデル1機種は4月下旬から、それぞれ発売する。

本体カラーはピアノブラック、バーミリオンレッド、チョコレートブラウンの3色

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