あえて「失敗」に向かうべき理由3分LifeHacking

奇妙に聞こえるかもしれませんが、実は失敗とはチャンスなのです。何か新しいスキルを身に付ける時、失敗の恐れがない「安全地帯」から飛び出すことは、長い目で見てあなたのためになるのです。

» 2013年03月29日 09時00分 公開
[Thorin Klosowski(訳:吉武稔夫、合原弘子/ガリレオ),ライフハッカー[日本版]]
ライフハッカー[日本版]

 「失敗すると分かっていることはするな」と、昔からよく言います。大抵は正しいのですが、いつもそうとは限りません。失敗は本人のためになるうえ、失敗を通してでしか学べないものも多いからです。「失敗しそうな状況に身を置け」とは奇妙に聞こえるかもしれませんが、実は失敗とはチャンスなのです。

 失敗は最高の学びと分かっていても、あえて実際に失敗しようとする人は少ないでしょう。けれども、今は、生死にかかわる失敗はほとんどない時代です。何か新しいスキルを身に付ける時、失敗の恐れがない「安全地帯」から飛び出すことは、長い目で見てあなたのためになるのです。

混乱や苦闘は学びを助ける

 矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、学習において「混乱すること」は役に立つと考えられています。研究によれば、誤りや矛盾を含んだ情報を与えられて混乱すると、学習の効果がより高まり、得た知識を新しい問題に応用する力も高くなるそうです。つまり、苦闘すればするほど深く学べるというわけです。

 興味のあることがあったら、予備知識がなくても、あえて飛び込んでみることです。もちろん、あなたが天体物理学者でもない限り、天体物理学の本を読んでもなかなか理解できないでしょう。プログラミングの本にしてもそうです。しかし、いつかは本の中身を理解し、「自分はダメだ」の壁を打ち破れる日がくるはずです。

入門書を使わず、いきなりはじめる方法

 自分の失敗は、他人から指摘されない限り、気が付きもしないことが多いもの。大工仕事でも写真撮影でも、どんなスキルでも同じです。結果にある程度満足できれば、間違っていることに気が付かないのです。「終わり良ければすべて良し」というこのやり方は、多くの場合、自分にとっても有用です。

 しかし、結果を得る過程で学ぶことにも、結果と同じくらい大きな価値があります。何か新しいスキルを身に付けたい時、必要なことを頭に入れてからではなく、いきなり飛び込んだほうが良い時もあります。この方法は、写真やアートのような、失敗のコストが高くないスキルにはうってつけです(ただし、車のブレーキを修理する時などは、やめたほうがいいでしょう)。

 例えば、これから写真をはじめたい人は、まずは米Lifehackerによる写真撮影の基本を読むのがベストでしょうが、いきなりカメラで何かを撮りはじめてみてもよいのです。カメラをあちこちいじり回してはその結果を確認し、レンズ越しに好きなものをのぞいてみましょう。そして、しばらくたったら入門書を読んでみて、先に進みましょう。内容がスラスラと頭に入ってきてビックリするかもしれません。それは、実際にカメラをたくさん使ったからなのです。

先に正解を見ない

 インターネットの特長は、どんな問題に出くわしても、Googleで検索すれば答えが見つかってしまうところです。ですが、あえて正解を最初に見ないようにすれば、失敗は増えるものの、物事の本質を深く理解できるようになります。以前、私は料理がそんなに好きではなかったのですが、今はそんな自分を変えようと努力しています。多くの人と同じで、レシピ通りにやれば完璧な料理が作れるのですが、料理が身についているわけではありません。どのスパイスがどの食材をおいしくしているのか分かりませんし、小麦粉をまぶす作業をする前に卵を割っておくべき理由も分からないのです。

 なので私は、ここ2、3カ月というもの、作り方を見ずに材料だけをメモするようにしています。分量も時間もメモしません。週に1、2回、思い切って「材料のメモ」だけで料理してみるのです(作り直しのできる時間がある時だけですが)。もちろん相応の失敗はしてきましたが、料理はちょっとばかりうまくなりました。

 要はこうです。正解を前もって見るのをやめれば、試行錯誤するようになり、四苦八苦の末に、より理解が深まる。プログラミングでも料理でも同じです。すべてに関してそうしなければならないわけではありませんが、たまには携帯やインターネットに頼らずにやってみよう、ということです。


 失敗は誰でもしてしまうもの。ダメな自分を許しながら、失敗のつらさを乗り越えていくわけです。けれども、本当に物事を身に付けたい時には失敗が必要です。時には、あえて自らをリスクにさらして失敗するほうが良いのです。

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