小手先の時間管理術では、生産性を高められないナレッジワーキング!!

かつてジョブズは自分に問いかけていました。「今からやろうとしていることは、本当にやりたいことなのか?」と。初めに決めるべきは「自分にとって価値あるものは何か」なのです。

» 2014年04月02日 10時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 文具店に行くと、実に多種多様な手帳が並んでいます。書店に行けば、仕事の効率化テクニックや、時間短縮のTipsなどのノウハウ本が山積みです。時間管理の悩みは尽きぬもの。ビジネスパーソンにとって、1日の大半を占める仕事の時間をいかに効率化するかは死活問題でしょう。

 しかし、時間だけを管理してもまったく意味はありません。なぜなら、時間というのは実体のないものだからです。つまり、「時間を管理する」ということは、本質的には「(自分にとって)価値ある行動を管理する」こと。それは「自分自身の価値感を管理する」ことと同義なのです。

今日が人生最期の日だとすれば……

 昔、不治の病で余命の短いことを宣告された患者がいました。一度は自暴自棄に陥りましたが、まもなく霧が晴れたように開眼し、残り少ない時間を有意義に過ごしました。

 しばらくして、病気の治療法が発見されました。担当医はすぐに患者に伝えましたが、患者はそれほど喜びませんでした。なぜなら、「残された短い時間」は、すでに患者にとってかけがえのない輝いたものになっていたからです。再び、終わりのない時間を与えられた患者は、どう考えればよいのか分からなくなったのかもしれませんね。

 死期が近いと、本当に大事なことが何かを真剣に考えます。あえて死期を意識することで、人生を輝かせることもできるのです。かのスティーブ・ジョブズもその1人でした。毎朝鏡を見ながら自分自身に対して、こう質問したといいます。

 「もし、今日が人生最期の日だとすれば、今からやろうとしていることを、私は本当にやりたいと思うだろうか?」

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 人生をかけて成し遂げたいこと、ずっと続けていきたい生活スタイル、幸せを感じる瞬間。そうした「自分にとって価値あるもの」を実現し、維持するために人生はあるのです。

 目前のやることリストをチェックする前に、「自分にとっての価値」を見直しましょう。それがしっかり認知されていれば、多少、計画がずさんでも、いつか必ずゴールに到達できます。「自分にとっての本当に価値ある活動」をマネジメントすることこそが、本来の時間管理です。絶対に、小手先の作業効率だけに目を奪われてはいけません。

実現したい価値と、そのための行動をマッピングしてみよう

 幸せになるために、あるいは成功するために必要な時間管理術とは、次の順番で行われるべきです。

  1. Value:まず、自分にとって価値あるものを決める
  2. Action:価値を実現するために必要な行動を決める
  3. Time:残された時間でその行動を実現するための時間割を決め、実行する

 作業の効率化やToDo管理といったことは、この最後のステップなのです。

時間管理 本当に効果的な時間管理は、まず価値の洗い出しから!

 自分が求める価値を整理するために、まず「自分の思い」をリストアップします。成し遂げたい目標、維持したいもの、欲しいものをピックアップし、それらの「関係性」を「→」で結びます。

 例えば、「自分自身で会社を作り、10億円企業にする」という目標があれば、それによって手に入れたいものがあるはずです。人間的な成長、経済的な自由、会社のメンバーの育成を通した交流など、「成し遂げたいこと」「結果として手に入るもの」を「→」で結ぶのです。

 「それを成し遂げると、自分にとって大切な何が手に入るのか?」という質問を繰り返し、「→」をつないでいきます。筆者はこれを「バリューマップ」と呼んでいます。

バリューマップ 活動の結果が目標であり、目標は自分の求める価値観の実現につながっていないといけない

 目標や欲しいものの関係を図式していくと、「→」が集まる要素がいくつかあります。これらの到着点が、あなたの求める価値です。あなたのすべての行動は、最終的にこれらの価値を見出すために行われるべきなのです。

 逆に、出ていく「→」が多い要素は、価値につながる具体的な行動目標、達成目標です。あなたの当面の課題は、この目標を達成するための具体的なアクションプランを立てることになります。

 価値というのは、「自分がこうありたい」状態を達成し、キープするための羅針盤です。言い換えれば「人生の目的」ですから、価値感にそぐわないことはすべきではありません。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

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