横暴なリーダーこそ、会社にとって貴重な存在サイボウズ式(2/2 ページ)

» 2014年05月15日 11時00分 公開
[サイボウズ式]
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空気を読まないアドバンテージ

 横暴なリーダーは人の顔色を気にしない。「こう行くと決めたからお前らは従え」だ。目指しているゴールに対して、強引に進めていく。

 メンバーの感情面を考慮しないだけに、物事が進むか進まないかだけで判断する。それは、ある意味では正しい。仕事で大事なのは目的に対して進捗するかしないかだ。それだけが正義という考えもある。どれだけ利害関係者のことを熟慮しても、メンバーに気を使ったとしても、進まない仕事はダメなのだ。結果的に首をしめることになる。

 逆に、彼が仕事のドライブができない人間だったとしよう。「お前らは従え」と言ったわりに間違えた判断に対して、部下に責任をなすりつける。上司に「教育しておきます」とヘラヘラしながら、お茶を濁す。定期的な進捗会議での黄色信号を見抜けずに(ここが進捗会議の目的なのだが)、火を吹いてから部下を怒鳴りつける。部下に非があったとしても、そこはリーダーが率先して火消しをするべきだ。こういうリーダーは能力も人間性も伴わない人間で、このケースに関しては救いようがない。

 先に述べたように、チームリーダーの立場に重要なことは、「切り分け」「判断」「責任」であり、それによって「仕事をドライブ」することだ。そこには「空気を読む力」は含まれない。むしろ、空気を読むことはそれを阻害する要因になりうる。純然と仕事を達成していくスキルを持ち合わせた仕事ができる横暴なリーダーは、会社にとって優秀な人材であり、貴重な存在なのだ。

会社員とは自分で考えたくない生き物

 会社組織にいる多くの人たちは自主性を持ちあわせていない。言葉を変えると「自分で考えたくない」人が圧倒的に多い。やることがすでに決まっていて、それを自分に割り当ててもらうほうを好む。

 ふだんはリーダーや上司に文句を言いつつ、いざ自分が裁量を与えられたら戸惑ってしまう――。自分が本当に望む仕事をどうしてもやりたいから、その状況を作り出すために頑張る。自主的に責任を持つ立場に立つ。そんなアプローチをする人は、本当にレアな存在だ。

 なんだかんだ言いながらも、無責任な立場でいることはオイシイのだ。判断や、それに対して責任を持つこと、物事を率先して進めていくのは相応に気が重いことなのは周知のとおりだ。

 私は、これは悪い考えじゃないと思っている。日本のサラリーマンで出世のために身を粉にして働いている人は、ほとんどの時間を会社のために使い、空いた時間は家族サービスに充てる。自分の時間なんて持てたもんじゃない。それでいて、平社員の給料と10倍の差が出るわけではない。自分がやればやるほどのリターンが出る経営者とは違い、せいぜい査定でインセンティブが出る程度。コストパフォーマンスが悪すぎる。生き方としては悪手だ。

 そういう姿を見て、なんとなく目の前の仕事をこなして、なるべく早く帰れればそれで良いという会社員は少なくないと思う。ある意味、横暴なリーダーはそこを巻き取っているといえる。会社組織にとって彼らは必要な人材だし、われわれが担えない部分を担ってくれる存在なのだ。(ファーレンハイト)

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