『なぜ通販で買うのですか』――バーチャル時代の営業ノウハウとは:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
『通販生活』で有名なカタログハウスの創業者による『なぜ通販で買うのですか』。iPhoneやネットブックの普及によって、通信販売はいよいよ加速する。なぜ今さら通販? と思った人にもオススメな良書である。
通信販売雑誌『通販生活』で有名なカタログハウスの創業者である斎藤駿が著者の『なぜ通販で買うのですか』。通信販売の販売哲学が惜しみなく明かされている良書だ。
なぜ今さら通販? と思った人は注意してほしい。iPhoneやネットブックの普及によって、これまでのモバイルに収まらない売り方はいよいよ加速する。そこに共通するのは非対面の販売方法であり、そのノウハウは最も伝統のある通信販売に秘められている。
使用価値を追究する
体が納得する、使用時の価値に注目した売り方が通販成功のポイントである。斎藤はそう見抜いた。
百貨店やコンビニでは製品を数多く陳列するために、1つ1つの製品がいかに使われるかを説明するには限界がある。むしろ心理的にやや無理に購入させる方法が好まれてしまう。
通販・ネット販売では、ユーザーが自分のタイミングで接するから、リアル店舗ほどには購入心理をかき立てることができない。そこで、体が本当に必要とする価値をアピールする必要がある。
「モデルによる試着・試用風景」「徹底した商品テストの紹介」「有名人の体験談」が、通販においてよく使われる手法だという。確かにリアル店舗では分からない価値がよく伝わる。。
トップ営業マンの定義が変わる
営業と言えば、人と人が関係するイメージを持つ人が大半だろう。これからは次第に非対面型の営業が増えていくはず。BtoBだろうが、サービス業だろうが、使用価値を重視して人に会わずに売ってしまう。そんな人がトップ営業マンと呼ばれる日は近い。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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「これからの日本に必要なのは、革新的な経営感覚を持った若き経営者だ」――そう考え、有望な人材の発掘・育成のサポートに日々邁進する経営コンサルタントがいる。藤沢烈、33歳。マッキンゼー出身、現在は独立してベンチャー企業のコンサルティングを行う、彼の日常とは? - 1人シリコンバレー創業プロジェクト、そして――藤沢烈さん(後編)
「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
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