リワーク施設で復帰できたTさんが「私は私のままでいいのだ」と思えるようになった理由:うつ病からの社会復帰(2/2 ページ)
うつ病の人を対象にしたリワーク施設を経て社会復帰できたTさんに話を聞いた。「私は私のままでいいのだ」と思えるようになったというTさん。どのような変化があったのだろうか。
うつ病で苦しんだことで手に入れた「一番大切な気持ち」
――今後の課題は何かありますか?
Tさん 「1人で何とかしよう」「相手の一面だけ見て決めつけてしまう」という傾向がまだあります。辛い状況を1人で抱え込むのは、相手に迷惑をかけたくないというだけではなく、とことん納得するまで考えて答えを出したい気持ちが強く、そこに他の方の意見を入れたくないって思いが強いのだと思います。
一面だけ見て相手を判断してしまうことも、いまだに課題です。心を開けば相手との状況も変わる可能性があると思いますので、決めつけるのではなく、いろいろな角度から物事を検証することを心がけていきたいと思います。
――うつ病に対して思うこと
Tさん うつ病になったということは「心がSOSを出した」わけですから、これまでの生き方ではダメだとさらに強く思いました。カウンセリングやこういった施設を通じて自分と向き合い、歪んだ認知という現実を突きつけられることはかなり苦痛でした。途中で何度も投げ出したくなりました。
しかし、リワーク施設のプログラムやほかのメンバーの存在、カウンセリングなどを継続することで見方や考え方が徐々に変わりました。どんどん楽になっていったんです。
1年半前にカウンセリングを始めた時「どうなりたいか?」とカウンセラーから聞かれて、ポンと出てきた言葉が「自由になりたい」という言葉でした。とても窮屈に生きていたのだと思います。今は「私は私のままでいいのだ」「誰かや世間に合わせて生きていかなくてもいいのだ」と思うようになり「自由になれた」と思います。
自分らしく生きていくために一番大切な気持ちを、うつ病で苦しんだことで手に入れることができました。まだ少し抵抗がありつつも、今はうつ病になったことに感謝しています。これからも自分という素材と付き合いながら自分の気持ちに素直に、日常を大切にして生きていきたいと思います。
仲間とのコミュニティが最も大きな力に
1人で悩み頑張るのではなく、皆で力を合わせて復帰を目指す。Tさんも、復帰カリキュラム以上に同じ施設に通った仲間とのコミュニティの力が最も大きな力となった、と話していました。
当社の施設と同じように、うつ病の方を対象にしたリワーク施設というのは、
- メンタルクリニック系でのデイケア系
- 東京・上野にある障害者職業センターなどの行政系
- MDAジャパンなどのNPO系
――など、まだまだ数は少ないですがいくつかあります。うつ病で休職中や就職活動中の人は、まずは主治医にご相談してみるとよいでしょう。
※この記事は、誠ブログの「うつ病からの社会復帰 自分らしい人生を!:『「うつ病からの社会復帰インタビュー:Tさんの事例」』」より転載、編集しています。
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