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» 2018年11月24日 05時00分 公開

「サービス残業は当然」「お前はバカか」――怒号飛び交う“ブラック企業”体験イベントが怖かった残業なき労働に価値なし(2/4 ページ)

[濱口翔太郎,ITmedia]

「髪形が変わったことに気付かない」で激怒

 始業時間になると、営業研修がスタート。取り扱う商材は、1本30万円のマッサージ機「ツボ押しX」。新人はこれを独居老人に訪問販売し、だまして買わせるテクニックをロールプレイングで練習しなければならない。

 「おばあちゃん、肩があまり上がらないなら、これを使えば元気になるよ」。先輩が手本を見せると、新人もそれにならう。動きが遅いと「お前はバカか」「殺すぞ!」との声が容赦なく飛んでくる。営業成績の悪い先輩が、売り上げを増やすよう上司に叱られ、実母に商材を買わせる場面や、給料は完全歩合制で、成績が悪いとゼロ円になると明かされる場面もあった。

 しばらくたった頃、ヒョウ柄の派手な服に身を包んだ社長夫人(副社長)が登場。新人たちは礼儀正しくあいさつをしたが、なぜが副社長は激怒。「髪形が変わったことに気付かなかった」ことに腹を立てたそうだ。このエピソードも実体験に基づいて盛り込んだという。

photo 社長(=左)と副社長(=右)

内部告発の犯人捜し

 副社長の機嫌が戻ると、新人のプレゼン大会が始まる。効率よく営業するアイデアを企画書にまとめ、社長・副社長の前で発表するというものだ。ここでは、新人が良い企画を発表すると、上司が「実は自分が考えた」とうそをついて手柄を横取りしたり、新人の企画書を上司がビリビリと破り捨てる場面があった。

 そうこうしているうちに、社内に慌ただしい雰囲気が漂い始める。社員の誰かが内部告発をしたため、労働基準監督署が調査に来るとの情報が入ったのだ。上司たちは慌てて証拠隠滅を図り、「何か聞かれたら、『新人だから分かりません』と答えろ」と強い口調で繰り返した。

photo 新人が破られた企画書を拾う様子

 調査を何とかやり過ごすと、社内では内部告発者の“犯人捜し”が始まる。上司たちが「連帯責任だ! 全員減給30%にするぞ!」と脅しをかけると、耐えきれずに、ある女性社員が名乗り出る。「こんなのおかしいです。辞めさせてください」と泣く女性に対し、上司は「チクるなんて最低の人間だ。辞めてもいいが、ノルマ未達成の罰金300万円、迷惑料200万円を払え」と冷たく言い放つ。結局、女性は会社に残る道を選んだ。

サービス残業は当たり前

 本来はこれにて終業だが、「社会人はサービス残業は当たり前だ!」と上司が主張したため、急きょ研修に関する反省文を書く時間が与えられた。書き終わった新人は前に出て、「不慣れなことも多く、大変申し訳ございませんでした」「私に足りないのは気合いでした」などと大声で読み上げた。

 ようやく仕事は終わりか――と思われた時、上司が倉庫から大量の便箋と封筒を運んできた。そして、「これから手書きのダイレクトメールを書け。全部終わるまで帰るな」と指示。困惑する新人を残して先に帰ってしまった。

 以上が「THE BLACK HOLIDAY」の全シナリオだ。

photo 新人たちがダイレクトメールを書く様子

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