パワハラの悪質さとリアルさに加え、役者の好演も相まって、イベント中は参加者が緊張感のある表情を浮かべていたほか、報道陣にも張り詰めた空気が漂っていたのが印象的だった。
体験を終えた参加者に話を聞くと、IT業界で働く20代男性は「フィクションだと分かっていても、怒鳴られるのはプレッシャーを感じたし、怖かった。他人が怒られているのを見るのもつらかった。これが実体験に基づいているのも恐ろしい。こういう職場が実際にあるということを知れてよかった」と話した。
Web製作会社で代表取締役を務める30代男性は「私は過去にこういう体育会系の職場に勤めていた経験があり、当時を思い出した。今は独立して経営する側となり、午後5時で帰れる社風にするなど、働き方改革を進めている。ただ、厳しい職場にも得るものはあったし、現代の働き方は“ユルい”ような気もする」と複雑そうに語った。
演出・脚本を考案し、上司役も演じた俳優の益山貴司さんは「閉ざされた空間で、他人を怒鳴ったり否定したりすることを繰り返していると、不思議と気分が高揚してしまい、アドリブで攻撃的な演技をしてしまった。演出上、一般参加者が怒ってしまうのではないかと心配だったが、みんなも不思議と役に入り込んでいて、本気で反省文を書いている人もいた」と、異様な空気が広がっていたと告白。「脚本のもとになった企業では、こんな状況が365日続いていると考えると恐ろしい」としみじみと話した。
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