――昨今ではM&A(合併・買収)を経験した企業も増えていますが、よく企業文化の相違が問題になります。異なる文化を持った人たちをまとめるときに、何が大切だと思われますか。
目標を明確にすることです。「一緒に戦っていくんだ」という意識を共有し、誰を見て仕事すればいいのかを明らかにすることが重要だと思います。組織が大きくなればなるほど、1人の人間が見ることができる範囲には限界がありますから、その下にサブリーダーのような人間も増えていきます。そうなってくると、人によって言うことがばらばらになるという状況も増えます。
それでは、自分たちがどこに向かって進めばいいのか分からなくなりますよね。そうならないように、リーダーが組織全体の目標を明確にしてあげて、その目標に向かって皆が邁進(まいしん)できる環境を作ることが重要ですね。
――先ほど「経験を重ねてきた、われわれ『おっさん』たちのほうが、できることが実は多い」とお話になられました。今取り組まれている「GEMS COMPANY」などの新規事業を通して、いかにして若手に道を示したいですか。
スクウェア・エニックスはゲームだけに縛られず、面白くて新しいことなら何でもやれる会社なのだと示していきたいですね。社内の若手スタッフだけでなく、これからゲーム業界やスクウェア・エニックスという会社を目指して入社してくれる人にとって、私が取り組む新規事業が一つのきっかけになればうれしいのです。ステレオタイプのゲームばかりを作っている会社よりは、「何だかよく分からないけど、新しいことをやっている会社だ」と思われたほうがいいと思っています。そして面白い人がたくさん来てくれることを期待しています。
河嶌太郎(かわしま たろう)
1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。アニメコンテンツなどを用いた地域振興事例の研究に携わる。近年は「週刊朝日」「AERA dot.」「DANRO」「Yahoo!ニュース個人」など雑誌・ウェブで執筆。ふるさと納税、アニメ、ゲーム、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。
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