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学級担任を廃止して「学年担任制」に――公立中学校長の改革麹町中学・工藤勇一校長の提言【後編】(4/5 ページ)

» 2019年05月10日 05時00分 公開
[工藤勇一ITmedia]
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制度や仕組みは時代とともに変えるべき

 「固定担任制を廃止した」と言うと、「そんなことが可能なのか」とよく聞かれます。制度を解説すると、公立学校の教員は「公立学校義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」によって、児童生徒40人(小学1年生のみ35人)につき教員1人が割り当てられることになっています。

 そのため、1クラスの最大人数は40人で、41人クラスというのは原則として存在しないことになっています。1学年の児童生徒数が80人なら40人×2クラスとなり、81人なら27 人×3クラスとなります。すなわち、80人なら2人の教員が、81人なら3人の教員が、学年の担任として割り当てられます。この点は、基本的に全国どの地域の学校も同じです(もちろん、自治体独自の施策で少人数学級を実現しているところはあります)。

 一方、こうして割り当てられた教員を、どのように配置するかは、学校裁量に委ねられています。児童生徒81人なら「3クラス」という枠は基本ですが、教員配置は自由にして構わないことになっています。

 本校の場合、1・2年生には各6人の教員が配置されており、その全員が、4つあるクラスの担任という立場で、クラス運営に携わっています。加えて2人の非常勤講師が、授業を担当するだけでなく、クラス運営に関わることができるようにしています。これは千代田区教育委員会と相談をして制度を整えました。

 第1学年の例を挙げれば、「学級活動」や「道徳」の授業は、2人体制で各クラスへ出向いています。さらに「道徳」については、1人の教員が4クラスを巡回し、自らの得意とする授業を順々に実施していくこともあります。生徒たちにとっては、幅広い教員と関わりを持ち、価値観を広げることができるメリットがあります。また、三者面談は、保護者と生徒が教員を指名する形で行っています。

photo 学級担任制では限界がある(写真提供:ゲッティイメージズ)

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