最初は創業メンバーの思いを込めて、その後は、経営陣を含む全員参加型で考えてきた経営理念は、Sansanの文化や社員の行動に反映されている。
例えば、「意思と意図をもって判断する」というバリューは、社員一人ひとりの意思を重視する習慣につながっている。
「社内では、『お前はどうしたいんだ?』という問いかけがすごく多いです。例えば上司に何かの判断を仰ぐとき、『AとBとCの3つがあるのですが、どれがいいと思いますか?』というのはNGで、『お前はどれがいいと思うんだ?』と聞き返されます。『こういう判断でBがいいです』と、自分の意思と意図を示せば、上司から見て明らかに間違った判断でない限り『お前がそう思うなら、やってみたらいい』という話になるんです」(大間さん)
「Sansanのカタチ」の見直しは随時されているが、過去の「カタチ議論」は前述の2012年のものも含め、これまでに3度行われている。2度めは社員数が200人になった2016年、3度めは約400人になった2018年だ。
2018年の場合は、ここ数年の間に入社し、過去の「カタチ議論」に参加していないメンバー約200人が、30ほどの部門横断チームに分かれてディスカッションするところからスタートした。
ベースにある「世界のビジネスシーンを変えていくような価値を生み出す」という目標は変えず、今の自分たちにふさわしいミッション、ビジョン、バリューを考える。そのために30チームそれぞれが1時間以上の議論を3回以上繰り返し、チームとしての案をまとめるところまでが「フェーズ1」だ。
これに続く「フェーズ2」には、役員以外の全社員が参加。フェーズ1に参加したメンバーが持ち寄った案をたたき台に部門単位でディスカッションし、部門ごとの案を全社会でプレゼンした。
その後、部長クラスが議論して全社会でプレゼンする「フェーズ4」、役員が議論して最終案をまとめ上げる「フェーズ5」を経て、2018年末に新たな「Sansanのカタチ」がβ版として発表された。
出会いからイノベーションを生み出す
仕事に向き合い、仕事を楽しむ
強みを活かし、成果を出す
感謝と感激を大切にする
意思と意図をもって判断する
変化を恐れず、挑戦していく
セキュリティと利便性を両立させる
これを見ると、ミッションはさらにシンプルに、バリューは以前のままのものもあれば、削られたり追加されているものもある。プレミス(事業の前提)は、2014年に策定され、それ以来ほぼ変わっていない。ビジョンはミッションに包括できていると判断し、2012年11月に削除された。新たにビジョンを追加しても良いという前提で「カタチ議論2018」を行ったが、結果として追加はされなかった。
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