Mazda3の最後のピース SKYACTIV-X池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

» 2019年07月16日 07時01分 公開
[池田直渡ITmedia]

一台のクルマにまとめ上げるということ

 クルマというのはつくづく難しい。アクセル踏み始めの違和感について指摘した1.8のディーゼルも、第6世代のうちは、これほどは目立たなかった。「小排気量ディーゼルだからなぁ」と飲み込むことはなんとかできた。しかし、他の要素が際立って進化したMazda3にそれが移植されると、パワートレインにも改良は加えられているにも関わらず、その粗が目立つし、どうしても気になる。

 万が一、あれだけ素晴らしい出来のクルマに心から相応しいといえるエンジンがないとしたらユーザーにとってもマツダにとっても不幸なことだ。だからSKYACTIV-Xに期待すると書いたし、ホントのところ祈るような気持ちでいた。

この2年間というもの世間を騒がせてきたSKYACTIV-Xがついにデビューした。その実力やいかに

 「お願いだからこの上、SKYACTIV-Xもいまひとつ」なんて記事を書かせないでほしい。ドイツで行われた試乗会に向かう飛行機で、それをぐるぐると考えすぎて少し気持ち悪くなった。

 ところがどうだ。試乗を終えて帰って来た筆者を見た某レーシングドライバー氏は、ちょっとからかうように言った。「池田さん何かやたらうれしそうじゃないですか?」

 シートに座って、エンジンをかけた時、まずエンジン音に好感を持った。通過騒音規制の厳しさが増す中で、静かでありながら頼もしさを感じる新しいエンジン音だった。

 最初に乗ったのはMTなので、クラッチを合わせた途端に、もうエンジンの仕付けの良さが感じ取れた。発進時のフィールはマイルドハイブリッドのおかげもあるだろうが、タイヤのひと転がり目から綺麗(きれい)に制御でき、しかも力強かった。トルコンがない分、そこがダイレクトに感じられる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.