次に、V6の井ノ原快彦について見ていきましょう。
「そんな暗かったら誰も話したくないよ(*:「テレビブロス」2015年5月23日号)」
入所した頃に、そうジャニー喜多川に怒られたという井ノ原快彦。8年間務めたNHK『あさイチ』で見せた朝の顔としての笑顔のイメージからは想像もつきません。そう考えると、“明るい人”もまた“生まれるもの”ではなく、“なるもの”なのかもしれません。
現在の井ノ原の笑顔の根底にあるのが、人への敏感なアンテナです。自らは「潔癖症(*:「ステラ」14年4月18日号 )」、有働由美子は「人の痛みを感じるセンサーみたいなものが敏感 (*4:「女性自身」2014年1月28日号)」と評するそれは、ある種、徹底的なまでの“嫌われない覚悟”と言い換えてもいいかもしれません。
そんな井ノ原の“嫌われない覚悟”を生み出す姿勢は、大きく3つの要素に分けられます。
(1)知識よりも気持ちを重視
(2)努力は“相手のため”にする
(3)相手を絶対に否定しない
まずは「(1)知識よりも気持ちを重視」です。井ノ原の代表的な仕事と言えば、10年から8年間にわたって務めたNHKの『あさイチ』のキャスター。実はこの番組で、井ノ原が喋るコメントは全てアドリブ。それどころか、VTRが終わったあとに、誰がコメントするのかも、直前にカンペで知らされたのだといいます(*:「女性セブン」2014年8月21日・28日合併号)。
大事にしているのは「何も知らないので教えて下さい」というスタンス。「知らないことを恐れるのではなく、教えてくれる人が周りにいっぱいいる状況をつくることがコミュニケーションの近道(*:「日経おとなのOFF」2014年6月号)」だと語ります。
逆に、視聴者が知らないであろうことにも敏感です。例えば、こんな気遣いも。
「『坂本くんがさ』とか突然話しても『どこの坂本くん?』って言われちゃうから、毎回『僕V6っていうグループをやっているんですが、そのリーダーに坂本っていうのがいましてね』ってちゃんと説明するようにしているんです(*:「テレビブロス」2015年5月23日号)」と、V6ほどの人気グループのメンバーでありながら、知らない人がいることを前提に話をします。
「っていう」という言葉を使ってちゃんと説明できるのは、他者への想像力がある証拠。V6を知らない相手の気持ちを慮(おもんぱか)って、優しい想像力を働かせ言葉を選びます。「知らないことがあってもいいと思うんです。それよりも、人の気持ちを考えないことのほうが罪だから(*:「テレビブロス」2015年5月23日号)」と語るように、井ノ原は、自分に知識がないことは恥じませんが、相手に失礼がないようにすることには徹底的に力を尽くします。
それが「(2)努力は“相手のため”にする」です。例えば『あさイチ』で週に一度ゲストを招いてトークするコーナーでは、1週間ほどかけて、ゲストの作品に目を通すといいます(*:「日経おとなのOFF」2014年6月号)。もともとは、前日に打ち合わせをし、資料をもらっていたのが、それでも時間が足りないという井ノ原の申し出により、1週間前に渡してもらうことにしたそうです(*:「女性自身」2014年1月28日号)。資料を読み込んで知識を入れるのは、相手を不快にさせないため(*:「女性自身」2014年1月28日号)。
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