長崎県の場合は、既にある大型リゾート施設「ハウステンボス」に隣接して作る計画で、4月6日に2025年のIR開業を目指す「九州・長崎IR基本構想」「九州長崎特定複合観光施設区域整備実施方針」を公表している。新規に作るほかのIRと比較して投資額が少なくて済む利点があり、近隣のアジアから多くの観光客を呼び込みたい狙いがある。同県と佐世保市が中心となって進めるIR構想で、今年春から事業者の公募を始める予定だったものの、コロナ禍で延期になった。
同リゾートを巡っては、昨年の6月にシンガポールのIRを手掛けているマリーナ・ベイサンズ(MBS)が建設・運営業者として立候補を表明、長崎県などと協議を始めたと伝えられた。中村法道長崎県知事は5月15日の記者会見で「今後のスケジュールは国の動きなどを踏まえて、粛々と準備を進めていく必要がある」と発言。政府方針を見極めながら、事業者公募の時期を決めたいとしている。
和歌山県も和歌山市にある人口島マリーナシティにIRを誘致し、25年春に開業する計画を推進しようとしている。5月には事業者の公募を締め切り、2社が応募した。11月までにどの業者に優先権を持つ事業者とするかを決める方針だ。
今回のコロナ禍ではどの自治体も企業支援などで大幅な歳出増を強いられ、当面はコロナ感染防止対策に追われていて、IRの推進までには手が回らない状況だ。また施設の運営スポンサーとなる民間企業は、売上減少でかつてないほどの痛手を負った。このためスポンサー企業も資金の拠出に影響が出るのは確実で、協賛企業も減少する。
政府は計画通りの実現を目指すとしているが、コロナ禍の長期化によりIR事業の前提条件が大幅に狂ってきており、立ち消えのリスクが高まってきている。
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