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» 2020年06月29日 07時15分 公開

中島厚志がアフターコロナを見通す【前編】:デジタル経済に舵を切れ 「変われない日本企業」から脱却するために (3/3)

[武田信晃,ITmedia]
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テレワークは地方創生にプラス

――新型コロナの影響によってセミナーもオンラインで開催される「オンラインセミナー」の形態を取ることが増えました。

 オンラインでの取り組みによってこれまで知名度がなかった企業が躍進する事例も出てくるでしょう。逆に、これまで立派な会場や熟練したスタッフを擁し、対面でのセミナーに強みを発揮してきた大手の企業には逆風が吹く可能性すらあります。同様に展示会の在り方自体も変わってきそうです。この転機をどう捉えて生かすかを考えなければなりません。

――オフィスが減っていく動きが加速すれば不動産価値への影響も考えられます。

 フランスのネット不動産仲介会社SeLoger社が公表した3月末のデータでは、一戸建ての価格上昇率がアパートを上回りました。同社は、新型コロナの影響で人々が人口密度の高い街の中心部よりも郊外への居住を選択していることや、テレワーク化の影響で通勤距離を今ほどには重視しなくなっていると言及しています。このような傾向が日本でも起きれば、都心回帰が起きている日本でも郊外一戸建て住宅が相対的に見直される可能性につながります。 

 確かにテレワークをするのであれば、人口が密集して感染リスクが高まる都市の中心部にわざわざ住む必要はないのです。これは、地方創生と言う意味でもプラスになるでしょう。

photo  フランスでは、一戸建ての価格上昇率がアパートを上回った(ネット不動産仲介会社SeLoger社のデータを基に中島厚志教授作成)

――オフィス需要が減り、都心から地方へと人が流れていった場合、どのような変化が起こるのでしょうか?

 郊外に住む人が増える一方で、都心も職住近接が普通になっていく可能性もあります。パリ一番の目抜き通りのシャンゼリゼ通りでは、建物の上階は居住スペースになっていて、実は人が住んでいるのです。東京の都心でも職住近接を実現したおしゃれなビルなどが、10〜20年という時間を掛けて建設されていくかもしれません。

 重要なのは、デジタル経済化でオフィス縮小やコスト削減を実現し、企業の生産性を上げるという視点です。賃金が相対的に安い非正規をたくさん雇う経営の在り方は格差を拡大させます。米国では暴動も起こっていますね。そうではなく、社員の賃金を上げ、より少ない人で効率の良い働き方にすることが大事なのです。そのおおもととなるのは人材であり、やはり冒頭で申し上げたように教育ということになるわけです。時代が激変しているのに70年前と同じ教育制度であっていいはずがありません。

photo 米国の暴動の背後には経済的な格差による「不満」と「怒り」が横たわっている(写真提供:ロイター)
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