クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年11月02日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:やり直しの「MIRAI」(前編) (1/8)

新型MIRAIでは、ユニット配置が全面的に改められた。デザインを見れば一目瞭然。初代から翻って、ワイド&ローなシェープを目指した。かっこ悪い高額商品は売れない。スタイリッシュであることは高額商品にとって重要な商品価値だ。新型MIRAIはプチ富裕層にターゲットを絞り込み、ひと昔前の言葉で言えば「威張りの利く」クルマへの生まれ変わろうとしている。

[池田直渡,ITmedia]

 2019年の東京モーターショーに出品された、トヨタの新型MIRAI(ミライ)のプロトタイプ試乗に呼ばれて、富士スピードウェイのショートコースに出かけてきた。

伸びやかでマッシブなデザインへと生まれ変わった新型MIRAIのプロトタイプ

 さて、MIRAIというクルマは書く側にとってややこしい。そもそも変わったシステムだからだ。もちろんいつだって、一番大事なのはクルマの出来なのだが、今回はほぼ全てが刷新されて生まれ変わった。駆動方式も、動力システムの配置も、シャシーも違う。当然パッケージデザインもまるっと変わった。それだけ違うのはターゲット顧客が変わったからだ。これだけでもずいぶん文字数を食う話である。

 加えて、水素インフラの長期展望の話も避けて通れない。それは別途後編に書くとしても、今回の前編もまた結構長い話になるだろう。

ゼロベースで見直し

 さてまずスタイルとシステムレイアウトから話を進めよう。初代MIRAIは、事実上世界初の燃料電池車(FCV)として2014年にデビューした。前例はないに等しいので、「こういうのが燃料電池車」という記号的認識が皆無の中で、手探りから始めざるを得なかった。

 トヨタは「大気中から酸素を取り入れて水素と化合させて発電する」というイメージを形にしようとした。具体的にはノーズ両端を巨大なエアスクープのようにデザインし、ノーズから取り入れられた気流が、ボディを経由してリアへ流れていくように見せる造形だった。こういう概念的モチーフはコンセプトカーの手法であって、真面目ではあるが商品デザインの考え方ではない。

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