クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年11月02日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:やり直しの「MIRAI」(前編) (4/8)

[池田直渡,ITmedia]

 従来2本セットだった高圧水素タンクは3本に分割され、1本は前述の通りセンタートンネルに、2本目はリヤシート下に、3本目はリヤオーバーハングに横向きにマウントされる。チーフエンジニアはこの配置を「〒」マークに例えて説明した。3分割によって上手くセンタートンネルを利用しただけでなく、タンク容量を増やして航続距離を先代の約650キロから約850キロに延ばしている。しかも旧型はJC08、新型はWLTC基準なので実質的にはもっと差があることになるだろう。

 実はこのタンクはそれなりに曲者で、700気圧という高圧に耐えるためにカーボンを積層で巻きつけるという手間のかかる部品であり、高圧に耐えるためにはボール型かボンベ型以外の形にはできない。だからこんなにレイアウトに苦労しているのだ。

センタートンネルに加えて、モーターの前後に各1本配置され「〒」レイアウトになった水素タンク

 キャビンに対して、このタンク位置を可能な限り下げて室内空間を確保するために、エンジニアリング的に必要になったのがタイヤ外径の拡大だ。車軸の高さを上げないと、目標全高の中でキャビンとタンクの容量を高次元に両立できない。どうせ外径を上げるのであればと、トヨタはホイールサイズに20インチを採用した。19インチのグレードもあるが、いずれにしてもセダンとして法外なサイズである。しかしそれはむしろカッコのためではなく、レイアウト的必然性から採用されたものなのだ。

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