クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年11月02日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:やり直しの「MIRAI」(前編) (8/8)

[池田直渡,ITmedia]
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 官公庁などのニーズに備えて、助手席が前に倒れて後席空間を拡大するショーファーサルーンの真似事のできる「エグゼクティブパッケージ」も用意されるが、このクーペ的なリヤドアのオープニングラインで、エグゼクティブを名乗るのはまあつらい。ロールスロイスやセンチュリー級を別にすれば、古式ゆかしいサルーンの文法から見て、昨今の内外のセダンはほぼ例外なく無作法者で、頭上空間の確保も怪しいし、乗降時の頭入れなど合格を与えられるクルマなどほとんどない。セダンのルールなど放っぽり出して、そのリソースをスタイルに費やしているクーペ風セダンであり、それはMIRAIも例外ではない。

2+2以上、セダン未満のリヤシートだが、現在のセダンとしては普通

 つまりMIRAIを正統なセダンのプロトコルでとらえれば、後席の乗降性に難を残す。が、今流のセダンとしてはまあこんなもの。ただし、迷いが振り切れずどっちつかずになっているクルマが多い中においては、MIRAIは思い切ってデザインを優先し、アストンマーチンを引き合いに出させるほど、スタイルに振った思い切りの良さに好感が持てる。筆者の認識としては、MIRAIはセダンというよりは後席の広いGTで、分類としてはポルシェのパナメーラの仲間だと思う。

 さて、MIRAIは走るモノとして素晴らしく良くできている。そこは称賛に値するだろう。が、話は再度ひっくり返って、クルマの出来が素晴らしかったとしても、水素インフラいかんでは、日々の使用に耐えない。そこはどうなのだろう? という話は後編へと続く。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。


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