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» 2020年12月21日 07時00分 公開

デジタル時代の人材マネジメント:デジタル人材が欲しければ「社内序列」から脱却せよ 現実的な報酬制度とは (1/3)

デジタル人材を獲得するために求められるのは、会社の“外”の市場価値に連動した処遇制度だ。3つの現実的なアプローチを紹介しよう。

[小枝冬人,ITmedia]

 デジタル化は、企業の事業戦略や組織の在り方そのものに変革を迫っている。デジタル化によって実現したいことは、ビジネスモデルそのものを変えたい、業務プロセスを抜本的に効率化したい、顧客接点を強化し、顧客満足度を上げたいなど、業態によってさまざまである。そんな中、多くの企業から聞こえてくるのは「デジタル化を推進したくても担う人がいない」という声である。今やデジタル化を進める人材の獲得・定着は喫緊の経営課題となっている。

欲しい人材の報酬水準は、自社の“部長クラス”

 人材獲得が難しい理由の一つに、獲得競争の激化に伴う、デジタル人材の市場価値の高騰(こうとう)が挙げられる。ビッグデータの分析・解析を行うデータサイエンティストは、希少職種と言われ需要が高まっている職種の一つで、優秀な人材だと年収ベースで1200万〜1300万円程度の水準に達するといわれている。日本企業でいえば大手企業の部長クラスといえるだろう。

 当然、魅力的な報酬水準だけで人が採用できるわけではない。人材獲得・定着のカギは、本人にとってやりがい・成長につながる仕事内容を用意できるか、という機会付与の充実に加えて、その組織のマネジメントスタイルや経営理念なども重要である。

 一方で、日本企業が何より頭を悩ませているのは、AIの知識やデータサイエンスの高度なスキルを持った人材について、自社の報酬水準を前提としていては、どうしても採用競争力で劣ってしまうという点だ。ひとくくりに語ることは難しいが、いわゆる従来型の職能型人事制度に基づく報酬制度ではデジタル人材の獲得そのものが難しい。既存の仕組みでは、部長クラスの待遇を用意するための役職や等級ランクを無理にあてがい、他の社員との整合性や公平性を考慮しないまま、処遇設定するほかないのが実情なのである。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

既存の社内序列からの脱却がポイント

 特に誰もが知っているような大企業や歴史のある企業では、社内の人脈や、その会社で求められる職務遂行能力の高さ、そして既存事業を大きくしてきた人材が評価されてきた。そうした社内市場価値に応じた序列は、企業がそれまで重視してきた大切な価値観や組織風土を反映したものになっている。

 しかしながら、デジタル人材を獲得していくにあたって求められるのは、会社の“外”の市場価値に連動した処遇制度である。時代の流れに沿って価値ある仕事や職務を遂行できる人材を適切に処遇できる仕組みである。言い換えれば、これまでの長期勤続を前提とした、従来の価値基準で形作られてきた社内序列からの脱却こそがポイントとなる。

 デジタル人材獲得のためだけでなく、機動的な意思決定や柔軟な人材の登用や配置を可能にする仕組みの整備の一環として、伝統的な日本企業の中では、社内の既存の序列を見直す動きがすでに始まっている。

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