クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

テスラからの争奪戦が勃発、中国自動車業界へ参入するメガITの勝算浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(3/6 ページ)

» 2020年12月31日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

不動産大手は「35年にEV年間500万台販売」を宣言

 20年はテスラに引っ張られる形で、同社を追いかけて設立された中国の新興EVメーカーも業績を伸ばした。活気づく市場では、さらに異業種参入が相次ぐ。来年に向け最も注目されているのは、不動産コングロマリットの「恒大集団」だ。

 恒大集団の創業者で現会長の許家印氏は、一代でコングロマリットを築き上げ、17年に中国の長者番付で首位に立った。その後もアリババ前会長のジャック・マー(馬雲)氏、テンセントCEOのポニー・マー(馬化騰)氏とトップ争いをしている。

 恒大は18年から、医療・介護機関の運営を手掛ける「恒大健康」を通じて、自動車生産に必要な事業を“爆買い”してきた。そして20年8月、EV6車種を21年に発売すると発表し、翌9月には恒大健康の社名を「中国恒大新能源汽車集団(以下、恒大汽車)」に変更した。

21年に発売すると発表されたEV6車種は、セダン、SUV、MPVなどをラインアップする(出典:恒大集団のニュースリリース

 許会長は「25年までに(恒大ブランドEV車の)年間販売100万台、35年までに500万台体制を目指す」と宣言。さらに今年12月には、ビー・エム・ダブリューのMINI部門の設計責任者、アンダース・ワルミング氏がデザインし、テスラ「モデルS」がベンチマークとなる、量産1号EVの「恒馳1」に自ら試乗してアピールするなど、熱が入っている。

量産1号EVの「恒馳1」は、すでに走行動画もアップされている(出典:恒大集団のニュースリリース

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