テスラは19年12月に上海工場で量産車「モデル3」の生産を始め、製造コストを大幅に削減。中国政府の販売助成金を受けられる価格にまで値下げした。モデル3の標準グレードは25万元(約400万円、助成金適用後)以下で買えるようになり、中国でEVブームのけん引役になっている。
中国では助成金適用で、テスラ「モデル3」の標準グレードを25万元(約400万円)以下で購入可能になった(2020年7月撮影)
アフター・コロナの経済政策だったEV販売補助金は2020年いっぱいで打ち切られるが、テスラの勢いは来年も止まりそうにない。
21年は中国で人気が高い小型SUV(多目的スポーツ車)の「モデルY」の現地生産も始める。また、テスラは12月23日、4200億元(約6兆6500億円)を投じて上海に充電器工場を建設すると発表した。
同社は今年末時点で、既に中国290都市以上に充電設備を整備しているが、コストを下げながら充電インフラを拡充することで、消費者にとってEVをより身近な存在にし、市場拡大を図る。
- 異色の高卒起業家が率いるEVメーカー「理想汽車」、理想を捨て実現したIPO
7月30日にナスダックへ上場した、中国EVメーカー「理想汽車」がナスダックに上場した。2014年に中国で多数設立されたEVメーカーがコロナ禍で次々と破綻するなか、今回の上場で一歩リードし、テスラのライバルを名乗る資格を手にしたと評されている。IPOに至る道のりをを通して、中国マーケットの豊かさと厳しさを紹介したい。
- アリババとシャオミの寵愛受けた「小鵬汽車」が描く“呂布”テスラを倒す道
コロナ禍を機に活気づく中国のEV業界。米市場へ上場した中国EVメーカーには、2018年上場の蔚来汽車(NIO)、20年7月30日上場の理想汽車、そして8月27日に米ニューヨーク証券取引所へ上場した小鵬汽車がある。小鵬汽車の何小鵬CEOは6月、三国志の呂布にテスラのイーロン・マスクCEOを、そして呂布と戦う3人に米上場3社のCEOを例えた投稿を行った。ここでは同氏の投稿の意図を紐解いていく。
- 孫正義も調達の中国BYDマスク、米「N95」認証で形勢逆転 本業EVの救世主に前進
中国EV大手のBYDが、米カリフォルニア州と結んでいた医療用マスク供給契約は、返金問題にまで発展していたが、同社製マスクが米国でのN95認証を取得。数日以内に納品されるという。同社製マスクは、ソフトバンクの孫正義氏も3億枚調達し、国内へ無利益で供給すると表明していた。
- 「6年前のM&A」でアリババに罰金、企業分割もちらつかせる中国当局の真意
アリババなど中国大手IT企業3社が12月14日、独占禁止法違反で50万元(約800元)の罰金を課せられた。いずれも過去のM&Aを当局へ申請しなかった点が問題視されている。世界ではGAFAへの規制が強まっているが、中国をデジタル大国に押し上げた立役者であるメガIT企業に対しても、同様に当局の姿勢が締め付けへと変化している。
- 英が一転5G排除、中国ファーウェイに迫る次の「Xデー」
7月14日、英政府が5G通信網からファーウェイを排除すると発表した。欧州各国はアメリカによる同社排除以降、中国との関係を深めたが、コロナ禍で悪化した対中感情などが背景にあると見られる。また同社は2020年前半の決算を、英政府発表の前夜午後11時すぎにひっそりと発表しており、カナダで拘束中の孟副会長の2度目の審理日「Xデー」が近いともされている。
- 楽天の国内年間流通額の2倍、「独身の日」を支えるアリババの最新技術
中国最大のECセール「独身の日」で、アリババのECサイトは今年4982億元(約7兆7200億円)の取引額を記録。楽天の国内年間取引額の2倍に相当する注文・決済・配送需要が2〜3週間に集中する同セールを乗り越えるために、さまざまな技術がアップデートされてきた。ここでは、2020年のセールを支えた最新技術を紹介する。
- 上場延期で衝撃、中国・アントを知る5つのキーワード
史上最大のIPOと注目されていた中国アリババの金融子会社アント・グループの上場延期が11月3日に発表された。ジャック・マー氏ら幹部3人が前日に金融当局の指導を受け、上場計画の見直しを迫られたことが理由だ。本稿ではアントの歴史や事業構造、今後の見通しなどを5つのキーワードからひも解いていく。
- アリババ「独身の日」セール、2020年は期間4倍 〜「ニューノーマル」で構造見直し
世界最大のECセール「独身の日」が中国で始まった。売上高を更新し続ける同セールだが、インタネットやEC人口は頭打ちで、構造改革を迫られていた。ここでは、セールの歴史をおさらいしつつ、コロナ禍の「ニューノーマル」が、構造の見直しに好機となっている今年の動きを紹介したい。
- 中国デジタル人民元“最新事情”〜当面のライバルはアリペイとWeChat Pay
中国デジタル人民元の最新実証実験が、10月18日に終了した。デジタル通貨分野では他国に1年以上先行する中国が、いち早く舵を切ってきた動機は実は国内事情にある。ここでは世界のデジタル通貨事情とともに、中国の現状と構想を紹介したい。
- 6億人が旅行の中国「国慶節連休」、それでも売れる「巣籠もり家電」
中国で「国慶節」の8連休が10月1日に始まった。昨年の同連休では、旅行者数がのべ7億8200人、国内観光収入が6497億1000万元(約10兆円)だったが、コロナ後初となる今回の大型連休で、旅行と消費の動向が注目される。また家電セールも好調だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.