さて、次はADASである。これはとても良くできている。加減速に関しては元々上手だったトヨタだが、今回も例外ではない。ステアリングのアシストは控えめではあるものの、よく吟味されている。ドライバーとアシストの主従関係がしっかり管理されており、ドライバーの意思に逆らう部分が少ない。もっとあからさまにアシストして欲しいというニーズはあるだろうが、ハンズフリーでないことを前提にすれば、意思に逆らってモーターが抵抗するような効きのものは避けたい。世の流れからいって、これも遠からずハンズフリー化されるのだろうが、その時トヨタがどう仕立ててくるのかに興味がある。
ただし、このADASのインタフェースには注文がある。ステアリングの右側スポークにADASの各種スイッチが装備されているのだが、これが手触りだけで操作しにくい。わざわざボタンをツライチに処理しているのだが、そのせいでボタンの境目が分かりにくい。こと高速を走る限り、これらのスイッチはかなり頻繁に触るものだ。いちいち目視が必要ではダメで、特に頻度が高い加速と減速はツライチのシーソー式で操作に気を遣う。トグル式の方がずっと安心して操作できる。ここは要改善だ。オンオフのスイッチと加減速ボタン、車間距離調整の4つは、はっきり手触りで分かるように区分してほしい。
ADASのスイッチは改良の余地があり。手触りだけで操作するには使い勝手が悪い
- やり直しの「MIRAI」(前編)
新型MIRAIでは、ユニット配置が全面的に改められた。デザインを見れば一目瞭然。初代から翻って、ワイド&ローなシェープを目指した。かっこ悪い高額商品は売れない。スタイリッシュであることは高額商品にとって重要な商品価値だ。新型MIRAIはプチ富裕層にターゲットを絞り込み、ひと昔前の言葉で言えば「威張りの利く」クルマへの生まれ変わろうとしている。
- やり直しの「MIRAI」(後編)
新型MIRAIは、魔法の絨毯のような極上の乗り心地と、重量級GTとして破格の運動性能を両立している。しかしインフラとの兼ね合いなしにFCVの普及はあり得ない。後編ではそのインフラの今と未来をエネルギー政策全般を通してチェックしてみたい。
- 燃料電池は終わったのか?
2014年末にトヨタが世に送り出したMIRAIだが、最近話題に上ることは少なくなった。「燃料電池は終わった」とか「トヨタは選択を間違った」としたり顔で言う人が増えつつある。実のところはどうなのだろうか。
- 水素に未来はあるのか?
「内燃機関が完全に滅んで、100%全てのクルマがEVになる」という世界は、未来永劫来ないだろう。そのエネルギーミックスの中にまさに水素もあるわけだが、FCVにはいろいろと欠点がある。しかし脱化石燃料を目標として、ポスト内燃機関を考え、その候補のひとつがFCVであるとするならば、化石燃料の使用を減らすために「化石燃料由来の水素」に代替することには意味がない。だから水素の製造方法は変わらなくてはならない。また、700気圧という取り扱いが危険な貯蔵方法も変化が必要だ。
- 日本のEVの未来を考える(前編)
EVの未来について、真面目に考える記事をそろそろ書くべきだと思う。今の浮ついた「内燃機関は終わりでEVしか生き残れない論」ではないし、「EVのことなんてまだまだ考える必要ない論」でもない。今何が足りないのか? そしてどうすれば日本でEVが普及できるのかという話だ。
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