Clubhouseに関わるAgoraとZoom、2人の中国系創業者の意外な接点浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)

» 2021年02月25日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

 ただし、中国人のClubhouseに対する評価は日本人のそれよりは辛辣(しんらつ)だ。後述するが、中国には10年以上前から複数のユーザーが音声で交流できるサービスが存在し、Clubhouseの基本コンセプトは目新しいものではなかったからだ。

 それでも、既存技術・サービスに著名人やインフルエンサーをかけ合わせ、「招待制」「シリコンバレー」というブランディングを加えることで、最先端サービスにブラッシュアップできると気づいた企業やチームは、続々と「中国版Clubhouse」を作り始めた。

 中国だけでなく海外のウォッチャーをざわつかせたのは、Clubhouseのデザインを完全に模倣した「Clubhorse(クラブホース)」だ。WeChatのミニアプリとして2月19日ごろリリースされたが、規約違反ですぐに利用停止となってしまった。

中国のClubhorse(クラブホース)のサービス一時停止を知らせるアプリ内の表示(ウェイボより)

 力が比較的入っているのがライブ配信大手で香港に上場する「映客(inke)」がリリースした「対話吧」。映客のCEOである奉佑生氏によると、社内メンバーから2月初めに提案があり、6日間の突貫工事を経て春節休暇に間に合わせてリリースしたという。

 その後、いくつかのバグを修正し、2月20日に正式にサービスを始めた。著名インフルエンサーを動員した対話吧はすぐに人気に火が付き、映客の株価も急騰したが、22日には「アップデートのため」(映客)、AppleとGoogleのアプリストアから削除されてしまった。

対話吧のリリース発表(ウェイボ内のアプリ公式アカウントより)。写真の左上がCEOの奉佑生氏。

 ウェイボではさまざまなアカウントが「中国版Clubhouseをローンチしました」と投稿しており、中国版Clubhouseを名乗るアプリは既に100〜200ほど登場している模様だ。しばらくは、大手企業から個人まで入り乱れ模倣アプリの粗製乱造と淘汰、ブラッシュアップのお祭り騒ぎが続くと見られる。

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