「SPACES赤坂」での業務は始まったばかりで、シェアオフィスでの業務は手探りの状態だが、大分放送東京支社の宮地支社長は「系列局との連携にもプラスになる」と語る。
「放送局の支社がシェアオフィスに入居するのは初めてのことだったので、決めた時点では不安もありました。それが、JNNの仲間が一緒に入居することで安心感に変わりました。同じ場所にいれば、情報交換が必要になった時にすぐに声をかけて聞くことができます。これまでも徒歩で数分のところにお互いオフィスを構えていたとはいえ、電話でアポを取ってから訪問するなど情報交換にハードルがありました。そのハードルが低くなり、判断や連携がスピーディーにできると思っています」
TBSは各社の荷物を置く倉庫を用意するだけでなく、当面はスタッフも配置して各局をサポートしている。メディア企画室の宮崎室長は、TBSも一緒に新しい試みをしたいと話している。
「職場の構造自体が変わるので、働き方も変わります。シェアオフィスに入居することのメリットは、決してコストカットの面だけではないと思っています。最初はぎこちなかったり、思っていたことと違う状況も出てきたりするとは思いますが、最初のトライアルなので最大限サポートさせていただきます。系列局のシェアオフィス化でどのように効率化ができて、働き方を変えられるのかを一緒に考えていきたいと思っています」
JNN系列のシェアオフィスは各局の東京支社の効率化を進め、放送局の働き方を変えていく起爆剤になる可能性がある。同時に、TBSとしては別の大きな目的もある。佐々木卓社長が前述したように、このシェアオフィスを、JNN系列をさらに強い集団にするためのコミュニケーションの場にすることだ。後編では、佐々木社長の単独インタビューの形で、TBSが系列局のシェアオフィス化を進めた狙いを詳報する。
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/。著書に『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)
TBS佐々木卓社長に聞く、地方局の東京支社をシェアオフィスに移転する狙い 「JNN系列をさらに強い集団に」
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