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TBSと地方局、「放送業界初」の狙いは? JNN系列地方局の約半数が東京支社をシェアオフィスに移転地方局のオフィス改革【前編】(3/5 ページ)

» 2021年04月19日 05時15分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

初期費用とランニングコストが削減

 ただ、これまで放送局の東京支社が、シェアオフィスに移転した例はなかった。大分放送ではシェアオフィスに移転するメリットとデメリットを検討。最大のメリットはコストの削減だった。

 コストの削減は大きく分けて2種類ある。一つは引越しの際にかかる一時的なコストの削減。新たにオフィスを構えるとなると、面積を縮小したとしても、引越し費用や機器の更新、内装工事や仲介手数料なども含めると約1000万円かかる。それがシェアオフィスの場合、内装工事と仲介手数料を払う必要がなく、約200万円で済むと試算した。800万円の経費削減だ。

 また、通常のオフィスへの引っ越しでは、敷金も10カ月分程度必要になる。いずれ返金されるとはいえ、一時的な支出は増える。一方でシェアオフィスにも1、2カ月程度の保証金はあるものの、大幅に支出を抑えることができる。退去するときの原状回復費も基本的には必要ない。

 もう一つのコストを削減できるのがランニングコストだ。大分放送の場合は支社の人数よりも若干少ない専有席を用意して、共有ラウンジやサテライトオフィスを活用する働き方をシミュレーションした。家賃だけで比較すると従来より3割程度経費が削減できるものの、実際は有料の会議室を使う必要もあることから、トータルでは1割程度の削減効果があると見積もった。

 もちろんデメリットもある。会議室が有料なので、在宅勤務やテレビ会議などを有効に使わないとランニングコストの削減効果は薄くなる。さらに、地方局は業務のデジタル化があまり進んでいない。働き方を根本から変えていく必要があった。

 「放送局の業務はアナログで、人海戦術に頼っている部分がたくさんあります。また、業務はFAXでのやりとりも多く、紙に印刷して確認する作業も当たり前のように行われています。シェアオフィスに移転することで、テレワークやペーパーレスを普通の会社のレベルまで引き上げるいいきっかけになると考えました。そういう意味では東京支社の業務見直しにつながり、タイムリーだったのではないかと思っています」

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