西武園ゆうえんちで再確認、観光アクセス鉄道の役割と効果杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/7 ページ)

» 2021年05月21日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 西武鉄道以外に目を向ければ、小田急「ロマンスカー」、東武「スペーシア」、近鉄「しまかぜ」「伊勢志摩ライナー」「さくらライナー」なども観光地のアクセス列車として誕生し、魅力を高めてきた。東急は自社路線網に観光地がないけれども、グループで古くから伊豆の観光開発に力を入れていた。アクセス路線としては国鉄・JRの特急に任せきりだったけれど、横浜発の「THE ROYAL EXPRESS」は、東横線の終点と伊豆を結ぶ観光アクセスルートを自前で整備したといえる。

 これほど長距離ではなくとも、観光地の入口役となる鉄道路線は多い。別府ラクテンチ、近鉄生駒ケーブル、箱根登山ケーブルカー、高尾山ケーブルカーなどのケーブルカーもしかり。観光地までの高揚感を引き立てる存在だ。

別府の遊園地「ラクテンチ」のケーブルカーは、遊園地メインゲートの乗り物。ちゃんと鉄道事業法の免許を得て運行しているので遊具ではない(08年撮影)

 残念ながら消えてしまった路線もある。小田急は向ヶ丘遊園駅と向ヶ丘遊園間にモノレールを運行していた。その前身は豆汽車と呼ばれる軽便鉄道だったという。しかし老朽化と向ヶ丘遊園の入場者数減少の影響で廃止された。名古屋鉄道もモンキーパークモノレール線が老朽化の影響で廃止されている。老朽化路線をリニューアルするほどの乗客が見込めなかった。

 しかし、日本の鉄道史をひもとけば、京急電鉄は川崎大師、京成電鉄は成田山など、参拝客を当て込んだ参詣鉄道の多くは観光アクセス路線のルーツである。ともに発展し、片方が低迷すれば一緒に沈む運命共同体だ。

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